犬は普通は吠えるものです。吠えないように期待するのは、子供におしゃべりをやめることを期待するように馬鹿げています。
しかし、過度の吠えはご近所迷惑ですし、あなた自身も疲れてしまいます。あまりにワンワン吠え続けるのであれば、その原因を特定し解決を目指さなければなりません。
[icon name=”comments” class=”” unprefixed_class=””] この記事の監修者
WanByWan 三井 惇(みつい じゅん)CPDT-KA
1997年ボーダー・コリーを迎えてからドッグトレーニングの面白さを知り、ドッグダンスを始めてから、ドッグダンスを広めたいとドッグトレーニングのインストラクターになる。
現在は二頭のボーダー・コリーと共に、一般家庭の愛犬のトレーニングやドッグダンスのレッスンに携わる。本人も競技者としてオビディエンス競技やドッグダンスコンペに出没中。
犬が吠え続ける理由
犬が吠え続ける理由としては、以下のようなことが考えられます。
- 警戒・恐れ:犬の中にはなんらかの音に反応して吠えるものがあります。代表例は玄関のチャイムです。ピンポーンの音と外からの来訪者が関連付けられて警戒したり、来客に対する興奮から刺激対象物がいなくなるまで吠え続けます。
- 要求がある・注意をひきたい:ある種の注意を欲するとき、犬は「要求吠え」をします。他の吠えとは少し異なり、「ワン」と一声、そして間に休止時間があり、要求が叶わないとさらに「ワン」と言うような吠え方です。要求が叶わないために声を出し続けているということが考えられます。
- 不安がある:あなたが外出の準備をしているとき、見知らぬ人や犬が近づいてくるとき、不安を感じて吠えることがあります。攻撃の吠えと混同されることがありますが、不安や恐怖におびえる犬は尻尾が下がったり身体を丸めたり、ストレッサーから逃げるようなサインを出します。もし犬が勢いよく飛び出すと同時に吠えるのであれば、攻撃的になっている可能性があります。
- 興奮している:散歩中に別の犬と会ったり、猫を見かけたりした興奮で、ワンワンワンと吠える犬がいます。あるいはドッグランで友達と遊んでいるときに、感極まった様子で大きな声を出すことがあります。興奮させる状況と吠え声の関係はかなり明確ですので、見分けることは簡単です。
- 分離不安・強迫症:分離不安を抱えている犬は、放置すると過度に吠えます。通常、破壊、食欲不振、不適切排泄、自傷などの他の症状も示します。強迫症では尻尾を追ったりサークルの中をぐるぐる回るなど繰り返し行動を続けます
- 医学的な問題:ハチ刺されから脳疾患、継続的な痛み、老化による痴呆など、医学的な問題によっても過度の吠えは引き起こされます。
犬の吠えを抑える方法
・落ち着いた声で「静かに」
叫ぶ犬に向かって「うるさい」「黙れ」と大声を出すのは逆効果です。犬が「反応してくれた」「応援してくれた」ととらえて、さらに勢いを増すこともあります。
吠えが続いたときは落ち着いたしっかりした声で「静かに」(どんなコマンドでも良いです)と言いましょう。吠えが(短い間でも)おさまったら、たくさん褒めてご褒美をあげましょう。吠えているときには絶対にご褒美をあげてはなりません。「静かに」というコマンドと一緒に、たとえば口に手を当てるなどのボディランゲージをつけても良いでしょう。
・吠えの原因から遠ざける
犬がたとえば家の前の道路を走る車に反応するのなら、外飼いの場合は家での飼育に変更したり、ベッドやハウスの置き場を変更する、あるいは窓の下の方に目隠しを施すなど、刺激から遠ざけるようにしましょう。
・心身ともに充足させる
留守をするときなどは長い時間楽しめるようなパズルオモチャやコングなどのかみごたえのあるオモチャを与えたり、ドッグウォーカーやトレーナーになどに頼んで、一定時間しっかりと運動させるのも効果的です。「疲れた犬は幸せな犬」ですが、疲れた犬は静かな犬でもあります。散歩や楽しい遊びや頭を使わせるゲームなどで満足させて、ワンワンと騒ぐ余力を残さないようにしましょう。
・落ち着くまで待つ
家族の帰宅に興奮して吠えている場合は、吠えている間にご褒美(アイコンタクトをする、ジャンプさせたり抱っこしてあげる)を与えてはダメ。吠えることをやめて、落ち着くのを待って、静かになったら帰宅の挨拶をしましょう。
・要求吠えには応えない
犬のわがまま(抱っこやおやつをせがむ)による要求吠えには応えないようにします。一度応えてしまうと、犬は吠えることのメリットを学習してしまいます。水が欲しいときや、トイレに出たいなどの正当な要求については、他のコミュニケーション方法を教えてあげるのも、吠えをやめさせる方法です。たとえばウォーターボウルを鼻で押すとか、前脚でカンカン引っ掻くなどです。吠えることなく要求を伝える方法を教えてあるのです。
・医学的な問題がないか確認する
今まであまり吠えなかった犬が急に吠えるようになった場合は、健康上の問題を疑い獣医師に確認してもらいましょう。問題行動を引き起こす原因として、健康上の問題は大きな割合を占めることを忘れないようにしましょう。
分離不安は、飼い主だけでは判断が難しいものです。犬に異常な様子がみられたら、はやめに獣医師にアポイントを取り、その後の対処について相談しましょう。
・嫌なものと報酬を結びつける
嫌なものに反応してワンワン吠える場合は、その刺激とご褒美を結びつけるプロセスを試してみましょう。たとえばチャイムの音で吠える場合は、音とオヤツを結びつけるのです。
チャイムトレーニングの難しさは、ベルがどのタイミングで鳴るのかわからないところにあります。そこであらかじめ誰かにチャイムを鳴らすように頼んでおいたり、チャイムを録音しておいたりして、チャイムが鳴ったら犬をハウスにおやつを入れて犬をハウスに誘導します。「チャイム=ハウスでおやつ」と関連付けられると、チャイムに興奮して玄関に走っていくのではなく、ハウスに飛び込んで待っているようになります。
根本的な解決は「運動やコミュニケーションを増やす」ことにあります。これは吠え以外の行動上の問題にも、大きな効果を発揮します。健康に問題がない場合は愛犬と外に出て、吠えることなど忘れてしまうほど身体や頭を使った遊びにつきあってあげましょう。
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