階段を全く使用せずに一生を終えることができる人がほとんどいないように、人間と暮らす犬の多くは階段を使います。家に階段がなかったとしても、公園までの道や病院などの施設にあれば、犬も使わざるを得ないのです。
階段を降りるときは要注意〜スッテンコロリンは笑い事ではない
意外なことではないかもしれませんが、犬も階段で怪我をします。店頭や落下により、筋挫傷、肉離れ、打撲、骨折、頭部外傷などがあり、最悪の場合は死亡することもあります。
多くの犬は、練習しなくても自力で自然に、階段を登ることができます。多くの問題は、階段を降りるときに起こります。
階段でトラブルを起こしがちなのは、ダックスフントやバセット・ハウンド、コーギーなどの胴が長い犬種です。階段に慣れていない子犬や、身体機能に衰えがみられる老齢犬にも注意を向けなければなりません。
階段を安全に使用させるための注意事項
愛犬の安全を確保することは、飼い主としての大事なつとめです。階段の使用に不安がある犬だけでなく、健康だと思われる犬についても、次の提案をぜひ検討してくださいね。
・視界を明るく広くする
明るい照明に変える、階段にある物を撤去するなど工夫して、視界良好な状態にしてあげましょう。犬も視界がひらけた場所を歩く方が安心ですし、飼い主は愛犬の様子・行動をよりよく観察できます。
・滑り止め処置をほどこす
光り輝くツルンとした床は魅力的ですが、硬くて滑りやすい表面は、愛犬の転落リスクを高めます。カーペット、滑り止めマットなどを利用して、犬が歩きやすい環境を整備しましょう。事故を防止するだけでなく、愛犬の足腰への負担も減らします。
・階段へのアクセスを制限する
階段があるご家庭では、犬が自由に階段にアクセスできないように制限しましょう。ゲートなどを利用すると良いでしょう。
階段の登り降りをするには小さすぎる子犬や、怪我や手術を受けた犬、運動機能に障害がある病気の犬や老齢の犬は、抱っこを選択する方が良い場合もあります。抱っこするには大きすぎる犬の場合、犬が階段を利用しなくても生活できるように環境を整えてあげると良いでしょう。スリングやタオルなどを利用して歩行の補助をすることもできますが、この場合は獣医師のアドバイスと指導を受けてから行ってください。
・愛犬を見守る
まだ慣れていない子犬や足腰の弱った老齢犬については、階段の登り降りをする際は見守るようにしましょう。
見守るだけでは事故を防ぐことはできませんが、何かあったときに原因を特定することが容易になりますし、他の健康上の問題に気がつくこともあるでしょう。
腰、膝、そして後肢に整形外科の問題を抱えている犬は、階段を登る際に躊躇したり、不自然な動き(足をかばうようにピョンと跳ねるなど)をみせることがあります。肘や肩に痛みを感じる場合は階段を降りる際に痛がる行動を見せることがあります。
背骨、首、椎間板、背中などに神経学的問題がある犬は、バランスをとることが難しくなります。ふらつきがみられたり、壁にへばりついて動けない場合には、何か問題が起こっている可能性があります。
階段の登り降りを練習しよう
ここからは、新たに階段の登り降りにチャレンジする子犬に関係するお話です。幸いなことにほとんどの犬は、階段の登り降りを練習により学ぶことができます。次に示す方法は、子犬に安全に階段を降りる方法を学んでもらうためのものです。
- 犬を床から1段上に乗せ、下からオヤツなどで誘惑します。愛犬がためらうことなく1段降りられるようになるまで、同じチャレンジを繰り返します。この時点で全く動けないようなら、日を改めてチャレンジしましょう。
- 次に犬に一度に数段降りられるように促します。2〜4段しかない場所があればその階段が理想的ですが、ない場合は床から2〜4段目に愛犬を乗せましょう。ここでも犬がためらう様子を見せなくなるまで、同じ挑戦を続けます。
- ひとりで降りられる歩数を増やしていきましょう。愛犬がすべて降りられるようになるまで見守ります。
他のトレーニングと同様に、犬に無理をさせすぎるのは絶対にNGです。転落を防ぐためには、犬の肉体的および精神的な限界をこえさせないようにすること、そして時間をかけることが大事です。
犬が階段を降りられないほど小さく未熟な時期は、それほど長くありません。「貴重な時期を楽しむ」くらいの余裕をもって、ゆったりと臨んでください。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] 5 Stair Safety Tips for Dogs | petMD
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