”育犬”休暇がやって来る!? ペットを迎えた人が取得する”パウタニティ・リーブ”

世界の犬事情
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最近、海の向こうでは、パウタニティ・リーブ(paw-ternity leave)なる言葉がメディアを賑わせています。

パウタニティ・リーブとは、産休(マタニティ・リーブやパタニティ・リーブ)のペット版。企業などが新しくペットを迎えた人に与える有給の休暇のこと。ある調査によれば、英国ではペットを迎えた人の5%がこのパウタニティ・リーブを取得しているそうです。

肉球たちに愛を!”パウタニティ・リーブ”

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どこにも行かないで〜 image by David Martyn Hunt / Flickr

パウタニティ・リーブとは新たにペットを迎えた従業員に対して、企業が賃金を保障したうえでの時短労働や休暇を認めるという制度等です。英国に始まり、最近では米国企業の幾つかが取り入れ始めているムーブメントだと説明されています

なんだそれ、バカみたい…という声が聞こえてきそうではありますが、自らでペットをお世話している方には(現実的に実施や取得をするかは別として)受け入れられそうな概念ではないでしょうか。動物たちはその年齢にかかわらず、新たな環境に慣れるための十分な時間が必要です。新たにペットを迎え入れるに際して、何週間かの予定を空けてお世話に専念することを勧める専門家は少なくありません。

新しく迎え入れた動物に必要なのは”時間”

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一緒だと、あんしん♡ image by qJake / Flickr

生後数か月の子犬の場合、食事やトイレの頻度は成犬に比して高いものですし、母犬や兄弟犬などと離れた寂しさもあります。保護犬については、愛情に飢えているコが少なくないうえ、ボランティアさんや他の犬と長い時間過ごしていることから、同様に寂しさに耐えきれないことがあります。もちろん、どんな動物でも、新しい環境(家具の場所や匂い)やルールに慣れるために時間がかかるもので、ここを上手にクリアできないと破壊行為などの問題行動を引き起こすことにもなり兼ねません。

こうした制度が作られた背景には、保護施設から引き取った犬たちを施設に戻す人の存在があるのかもしれません。断念した人たちが口にする理由に「吠える」「噛みつこうとした」「分離不安がひどくて外出できない」などがありますが、犬に一匹で留守番させるのがあまりに早すぎることがその原因であると指摘する人もいます。

新しい動物を迎え入れることは難しいことですが、時間をかけることでその多くは解決できます。トレーニングに連れて行ったり、一緒に遊んだり、たくさんの時間を同じ場所で過ごすことはとても大切です。そのうちに犬たちは落ち着き、新しい生活・新しい環境に適応していくでしょう。

”パウタニティ・リーブ”実践企業

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おいていくなんて、しないよね… image by localpups / Flickr

英ペット保険会社Petplanによれば、英国でパウタニティ・リーブを取得した人は5%にものぼるそうです[1]。すでにちょっとしたムーブメントと言える試みですが、最初に導入したのはブリュッセルに本拠地を置くマース・ペットケア。ペットを迎え入れた人に、10時間の有給休暇を与えているそうです。

マース社の人事担当役員、メンジーズ氏(Kate Menzies)は「動物を迎えいれるのが大変だということはよくわかります。従業員の皆さんがこの責務を少しでも楽に果たすことができたら良いと考えています」と語っています。「犬や猫は私たちの事業の核。事業方針は、ペットを愛するというカルチャーを大切にする方向で設計されています」

ペット関連企業以外にも、申請を認める企業が登場しています。マンチェスターに本拠地を置くIT企業のBitSol Solutionsでは、1週間程度のパウタニティ・リーブを従業員に認めており、すでに実績もあるとのこと。取得可否はケース・バイ・ケースで判断されるそうで、「例えば金魚のために休みが欲しいということなら、それはダメ。制度の目的と異なっている」と同社はコメントしています[2]

また、ニュージーランドでは同国最大手の銀行、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)がペットのための有給休暇を認めています。同行の広報担当は「誰でもどんな理由でも、休暇の申請はできます。そしてパウタニティ・リーブも、その理由に含まれています」とのこと。ペットの面倒をみるための休暇申請が認められた例は、3件にのぼるそうです[3]


マタニティやパタニティも十分でない我が国ですから、”肉球休暇”など夢のまた夢なのかもしれません。ただ、ペット関連企業やベンチャーなどの若い企業なら、導入する企業が登場してもおかしくはないのかもしれません。ペットを迎えいれることが従業員の仕事の成果につながるのであれば、その時間を十分に与えるというのは、悪くな投資のようにも思えます。

ちなみに当社はもちろんペット同伴可。そしてパウタニティ・リーブも相談可です♡

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Paw-ternity Leave: Will This UK Pet Parent Trend Make Its Way To The States? | petMD
[2] A few British companies are moving from paternity/maternity leave to the next frontier: ‘Paw-ternity.’ | Public Radio International
[3] Pet crook? Take the day off – Lifestyle – NZ Herald News

Featured image from Olena Gorbenko / Shutterstock

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