地震、噴火、竜巻、そして異常気象。
自然災害は突然、容赦なく襲いかかってくるものです。
人間だけでなくワンコのことも考えて、備えを万全にしておきましょう。
夏にかけて注意すべきこと
米国では6月を、「ペットのための緊急時対応月間(National Pet Preparedness Month)」とする動きがあるようです。
ペットにとっては、暑い夏それ自体が天災のようなもの。緊急事態に陥ってクーラーその他の「助け」を借りられないとすれば、ワンコにとっては地獄そのものです。そんな厳しい生活を強いられるときがくるかもしれないよ、前もって準備をしておこうね!というムーブメントのようです。
さてさて日本の状況はどうでしょう。
気象庁Webの世界の異常気象ページによれば、2013年の夏(6月〜8月)は、西日本の夏平均気温が1946年以降で第1位の高温、東北地方の7月の降水量が第1位の多雨になるなど、極端な天候となりました。2014年は日本各地で大雨に見舞われる「平成26年8月豪雨」となったことは記憶に新しいところですよね。
今年だけ平穏無事、ということは考え難い・・・。
さらに地震は全国で発生しているし、火山の噴火も心配です。
とすれば日本でも、暑い中でワンコと一緒に避難することは起こりうる事態。そのときに備えて、準備を万全にしておいたほうが良いでしょう。
同行避難を考えるなら必読『救護対策ガイドライン』
飼い主さんに絶対に読んでおいて欲しいのが、環境省 動物愛護管理室が編纂した『災害時におけるペットの救護対策ガイドライン(平成25年6月)』です。心構えから実際の対策・対応方法が詳しく記述されている141ページの大作です。その時がきたときに落ち着いて対応できるよう、じっくりと読むことをお勧めします。
飼い主がペットと同行避難することを原則とした場合、個々の飼い主がまず果たすべき責任は、平常時から災害に備えたペット用の備蓄品の確保、避難ルートの確認等の準備をしておくことはもちろんのこと、ペットが社会の一員としての適正をもつべきであることを認識し、同行避難するために必要なしつけや健康管理を行うことである(p.2)。
この心構えがあってはじめて、自治体等による支援や、犬を飼っていない人からの理解と協力を得られるものと認識しましょう。
飼い主が行うべき防災対策
『ガイドブック』によれば、飼い主の役割は(1)同行避難、(2)災害避難時における飼育管理の2つ。そして飼い主が行うべき対策として、以下のものが挙げられています。
平常時の対策
- 住まいの防災対策
- ペットのしつけと健康管理
- ペットが迷子にならないための対策(マイクロチップ等による所有者明示)
- ペット用の避難用品や備蓄品の確保
- 避難所や避難ルートの確認等の準備
災害時の対策
- 人とペットの安全確保
- ペットとの同行避難
- 避難所・仮説住宅におけるペットの飼育マナーの遵守と健康管理
まず、住まいの防災対策としては、家具の固定などが考えられますよね。これは、ペットの安全確保にも役立ちます。また、家の中でのワンコの居場所も見直してみましょう。ベッドやクレートがタンスの横にあるのはコワすぎます。外飼いのコの場合も、重いブロック塀が崩れてこないかなど、安全な場所を確保してくださいね。
愛されワンコにするために〜ペットのしつけと健康管理
避難所で起こりうるペットトラブルとはどういったものなのでしょうか。愛知県が行った調査によれば[1]、同行避難に反対とする答えた方は、その理由として「鳴き声、臭いや糞尿の処理」を多く挙げていました。そのほかに、ペットからうつる病気、ノミ・ダニの発生、噛みつきなどに対する心配も寄せられました。
ワンコは生き物。臭いや糞尿を完全にコントロールすることは不可能です。ですが、避難所で言うことをきかせることや、無駄吠えをさせない、虫の駆除、健康の維持など、事前に準備しておくことができることも少なくはありません。
ワンコが原因でトラブル発生、という悲しい事態を避けるためにも、今日から実践したい準備は以下のとおりです。
- クレートやキャリーバックに入らせる練習をしておこう
- 「待て」「おいで」など基本コマンドを完璧にしよう
- むだ吠えしないように、様々な状況に慣れさせよう
- 決められた場所(シートの上)で排泄の練習をしよう
- 予防接種は必ず受けておこう
- ノミ・ダニなどの外部寄生虫の駆除をしておこう
- 不妊・去勢手術をしておこう(※)
※ 不妊・去勢については飼い主さんごとに考えがあると思います。性的ストレスの軽減、感染症の防止、無駄吠え等の問題行動の抑制、ならびに不必要な繁殖を防止するといったことが考えられ、緊急時対策の側面からいえば行ったほうがよい準備に挙げられます。
離れ離れになっても再会できるよ〜マイクロチップ等による所有者明示
突然の災害の発生により、ワンコが驚いて逃げてしまうこともあります。あるいは、飼い主さんがお仕事やお買い物で外出している際に災害が発生し、離れ離れになってしまうかもしれません。
保護されて安全が確保されても、どこのお家のコなのか、なんというお名前なのかを、ワンコは名乗ることができません。一刻も早くワンコと再会できるように、以下のものを準備しておきましょう。
- 迷子札(外から見えて誰でもすぐにわかるもの)
- マイクロチップの装着とAIPO(※)の登録
- 鑑札や狂犬病予防注射済票
※ AIPO Animal ID Promotion Organization(動物ID 普及推進会議)の略称。マイクロチップを利用した犬・猫等の家庭動物の個体識別を普及推進するため、(公財)日本動物愛護協会、(公社)日本動物福祉協会、(公社)日本愛玩動物協会、(公社)日本獣医師会の4 団体によって構成された組織で、(公社)日本獣医師会がマイクロチップのデータベースの登録・管理を行っている。マイクロチップ自体には、15 桁の数字が記録されているだけで、飼い主の住所・電話番号などの情報は入っていないため、マイクロチップを装着した場合には、飼い主のデーターと照合するためのデータベースへの登録が必要となる。
大切な家族の一員であるワンコさん。災害時には飼い主さんが落ち着いて、安全を確保してあげたいものですね。イザというときに慌てないように、準備はしっかりしておきましょう。
次回は『備えあれば憂いなし!同行避難を想定してのアレコレ』をお届けする予定です。
企画・翻訳協力:Loveless 富士子
[1] 愛知県が行った調査の結果『ペットの同行避難等に関するアンケートの結果について』はリンク切れになっていました。ご参考までに名古屋市による「平成26年度第2回市政アンケート(調査結果)(市政情報)」を掲載しておきます(2015/12/29 編集部追記)
Featured image by Joop Snijder Photography via shutterstock
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