アッパーウェストサイドの高級マンションの管理組合が行ったDNAテストが、「犬差別」ではないかと物議を醸しているようです。
米オンラインメディアDNAinfoが今年6月に報じたニュースです。
ミックス犬なら血統パーセンテージを示さなければならない
管理組合が今年5月に公表した新規則は、犬の飼い主に、犬の血統を明らかにすることを「厳しく」求めています。
その内容は、獣医師のサインを受けた血統を証明する書類を提示しなければならず、ミックス犬の場合はどのくらいの割合でどの犬種の血筋を受けているのかを証明された書面が必要であるというもの。血統に関する情報を持っていない場合には、「組合の判断でDNA鑑定を住人に対し要求する」という定めもあるというから、ちょっと驚きです。
これは、管理組合が定める「飼育を許可しない犬種」を一掃する目的で定められたようです。管理組合は2011年より、セント・バーナード、ジャーマンシェパードなどの大型犬から、ピットブルやバセットハウンドといった中型犬、シーズーやポメラニアン、そしてマルチーズなど27犬種を「攻撃性のあるとみなす、住んではいけない犬種」と定めていました。それではミックス犬は?といえば、新しい規定で、50%以上不許可犬種の血統をもつ犬は飼育を許可しないことになるのだそう。
さらに組合は、飼い主と犬を登録するため、顔写真を提供を求めたそうです。
「飼える犬」を指定すべきか「飼える人間」を指定すべきか
賃貸の集合住宅で、犬の飼育に関して規定を設けることは、特に珍しいことではありません。ただし、日本のように横並びの規定ではなく、その住居なりのルールが設定されるようです。たとえば、予防接種はドアマンに行わせなければならないというルールを掲げるビルもあれば、ペットは貨物用エレベーターの使用しか許可しないアパートもあるといった具合です。
ただ、今回のようなケースは、かなり珍しいものといえそうです。専門家は「犬差別として訴訟問題になるかもしれない」とコメントしています。さらに、犬に関する問題は飼い主にほとんどの責任がある、ということに触れています。
規定を見たマンションの住人の一人は、こうコメントしています。「こんな馬鹿げた話はない。結局のところ、飼い主が責任ある行動をとれば問題はないはず」
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