スイミングは犬の健康に良効果〜ハイドロセラピーは歩行困難犬にも健康犬にも良い影響

サイエンス・リサーチ
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英研究機関が犬のハイドロセラピー(水治療法)についてその効果を測定し、形成不全などに伴う歩行困難犬の回復を助けるとともに、健康な犬の運動機能向上にも良い影響を与えることがわかったと発表しました。

犬のQOL向上に役立つハイドロセラピー

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image by Ken Dodds / Flickr

ハイドロセラピー(水治療法:すいちりょうほう)をご存知でしょうか。水を使った理学療法の一種であり、水によって患部を刺激することによって運動機能を回復させる、リハビリテーションに使われる治療法の一つです。最近ではシニア犬の健康維持、怪我からのリハビリ治療、そして運動不足ワンコに体を動かす機会を増やす目的などで、犬のハイドロセラピーを行う施設も増えてきています。

このハイドロセラピーについて、水泳の科学的分析で知られる英国ハーピュリー大学リサーチセンター(Hartpury University Centre)が、犬12匹を対象とする実験を行い、ハイドロセラピーがラブラドール・レトリバーの肘関節形成不全の改善に効果ありとの結果が得られたと発表しました。

肘関節形成不全とは、大型犬種・超大型犬種での前肢跛行の原因となる遺伝性整形外科疾患。50%以上の症例では左右両方の股関節に罹患し、この場合は前肢の歩行・走行がぎこちなくなるなどの症状がみられます。発症率はロットワイラーで46%、バーニーズ・マウンテンドッグで40%、セント・バーナードで30%、ジャーマン・シェパードで19%、ラブラドール・レトリバーで15%ほどだそう[1]。犬にとって運動能力や可動性を維持することは、QOL(生活の質)向上に大きく影響する重要な問題であり、犬の健康を気遣う飼い主の重大な関心事でもあります。

小規模実験、効果の持続は未知数〜しかし一定の効果は確認


video from Merlin the Collie Dog: Hydrotherapy rehabilitation for muscle wastage and weight loss / YouTube

実験には6匹の健康な犬と、6匹の肘関節形成不全の初期症状を呈する犬(いずれもラブラドール)が参加しました。研究者たちは犬にトレッドミルでの運動とハイドロセラピーのセッションを課し、前脚につけたマーカーを通じて運動の際の犬の歩幅や足の動きを計測しました。結果、ハイドロセラピーのセッションの後は、健康な犬と形成不全症状のある犬の両方に、可動領域の拡大が見られたそうです。また、形成不全症状の見られた犬のほうが、可動領域は広く拡大したということもわかりました。

今回は実験協力犬の数が少ない、非常に小規模な実験です。また、この実験では運動直後の効果のみの測定をしていることから、実験を行ったウィルス博士(Dr Alison Wills)は「効果が持続するかはわからない」とコメントしています。また今回の実験はラブラドールのみで行ったため、他の犬種に及ぼす効果は未知数であることも、併せてコメントしています。今後は犬種や頭数を増やし、より広範な調査をすすめたいとしています。

ウィルス博士は、今回の結果が限界的なものであるが「スイミングは犬に良いと思われる」と結論しています。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] 特定非営利活動法人日本動物遺伝病ネットワーク » 肘関節形成不全症
[2] Doggy paddles help dogs to stay on the move | EurekAlert! Science News

Featured image credit Ken Dodds / Flickr

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