犬は人間の”幸せな顔”をもっともよく認識できる(研究)

サイエンス・リサーチ
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犬は私たちの感情を察知することに長けていますが、顔の表情を読むことも得意であるようです。

研究者らは8匹の犬の脳をfMRIで観察し、人の幸せな表情を見たときに脳の活動が活発になることを発見しました。


「ウチの犬、私の表情をよく見てるなぁ」と思うことはありませんか?

どうやらそれは気のせいとか、飼い主の思い込みなどではなさそうなのです。

2016年に発表された研究では、犬が人間と同じように顔認識を行なっている可能性と、人間の顔が報酬と結びついている可能性とが示されています。また2017年の研究では、幸せいっぱいでオキシトシンをたっぷり分泌している犬は、人間の笑顔を好む可能性があることが報告されています。

これらの研究は、犬が人間の顔を認識し、そこに感情あるいは何らかの”イイコト”が紐づいていると理解している可能性があることを示しています。今日ご紹介する研究は、2016年の研究から一歩進んで、人間の顔(表情)を見たとき犬の脳のどこでどのように情報処理が行われているを明らかにする目的で行われたものです。

脳は部位によって機能や役割は異なります。たとえば大脳辺系は本能や情動、記憶といった役割を担っていますし、視床下部ではホルモン分泌を調節する役割を担うといった具合です。脳のどの部位が活動しているかがわかれば、人の顔の表情が犬にどう影響するか、ちょっと見えてきそうですよね。

研究を行ったのは、メキシコ国立自治大学の研究者たち。8匹の犬を対象に、人間の表情を見た犬の脳反応を測定しました。犬たちは事前に、fMRI装置に一定時間静かに横たわるよう訓練されており、測定の間拘束されることはありません。fMRI(機能的磁気共鳴映像装置)とは、人間および動物の脳活動を頭皮の外から測定する装置で、これを使うことにより、脳の活動がどの部位で起きたかを画像によって確認することができるのです。

実験は2回行われ、それぞれに脳活動が測定・観察されました。

実験1で犬は、幸せな表情の人(幸せ)と特に何の表情も示していない人(中立)の写真を見せられました。幸せな人の表情を見た犬の脳は、側頭皮質と尾状核で活動が増加することがわかりました。側頭皮質とは、側頭葉の皮質の部分のことで、側頭葉は言語、記憶、聴覚に関わっています。尾状核は、脳の学習と記憶システムの重要な部分を占めていると考えられている神経核です。

実験2で犬は、幸せ、怒り、恐怖、悲しみの表情をした人の写真を見せられました。幸せ表情に犬の脳は、実験1と同じ反応(=側頭皮質と尾状核で活動が増加)を見せました。一方、怒りや恐怖、悲しみの表情には、全て同じような反応を見せたのだそうです(個々の違いが見られない)。

すなわち犬は、怒りや恐怖、悲しみの表情を、似たようなものとして捉えており、見分けることができない可能性があるそうです。

どうやらこれは「犬は悲しい顔と怒った顔の区別ができない」というより、「犬は、人の幸せな表情を特別なものと捉えている」ことを示していそうです。実際、研究者らが脳スキャンの結果を機械学習プログラムにかけて分類したところ、幸福な表情を見た犬の脳スキャン画像は、正確に当てるられるほど際立っていたそうです。


もしあなたが愛犬に幸せを感じてもらいたい、楽しい記憶をたくさん残してあげたいと思うなら、とにかくいつも笑顔でいることです。彼らの脳は、あなたのハッピー表情を特別な方法で処理し、幸せの記憶を胸にしっかり刻んでくれるかもしれません。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Hernández-Pérez, R., Concha, L., & Cuaya, L. V. (2018). Decoding Human Emotional Faces in the Dog’s Brain. bioRxiv, 134080.
[2] Smile! Your dog’s brain will light up in response | Science | AAAS

Featured image creditAlvan Nee/ unsplash

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