肥満は犬の寿命を縮める〜理想体重犬と比べて2年半短縮のケースも(研究)
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太り過ぎの犬は、理想体重の犬と比較して、2.5年寿命が短くなる可能性があることがイギリスの研究により示されました。
論文はJournal of Veterinary Internal Medicineに掲載されています。
研究を行ったのはイギリス・リバプール大学とウォルサム研究所ペット栄養学センターの研究者たち。1994年4月から2015年9月の間に北米のBANFIELD®Pet Hospitalsでケアを受けた犬の人口統計学的、地理的および臨床的データを利用した遡及的観察研究を行いました。
対象となったのは、ダックスフント、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、アメリカン・コッカースパニエル、ビーグル、ボクサー、チワワ、ピットブルテリア、ポメラニアン、シーズー、およびヨークシャーテリアの12犬種。50,000匹以上のデータを調査・分析し、犬の体重と予想寿命の関連を明らかにしました。
研究では、調査対象となった12犬種すべてにおいて、肥満傾向にある犬ほど寿命が短くなる傾向にあることが確認されています。
ただし、影響の度合いは犬種によって異なることもわかっています。たとえば肥満のオスのジャーマン・シェパードでは5ヶ月ほど寿命の短縮がみられましたが、オスのヨークシャー・テリアでは2年半ほど短くなります。ダックスフントやビーグル、チワワでも2年ほど短くなることが示されています。
リバプール大学アレックス・ジャーマン教授は、次のようにコメントしています。「飼い主は自分の犬が太りすぎであることに気づいていないことが多く、多くの人が健康に与える影響を理解していないようだ。最愛のペットが重くなりすぎると、生活の質が悪化するのと同時に、関節疾患、呼吸の問題、癌のようなその他の健康問題に苦しむ可能性が高い。これらの健康問題は、ペットたちがどれだけ長く生きるかに影響を与えるものだ」
「多くの飼い主にとって、食べ物、特に美味しい(人間の食事の)残りもののお裾分けをすることは、ペットに愛情を示す方法だが、何を与えるかに注意を払うことは、ペットを良い状態に保ち長生きさせるうえでとても大切だ」
リバプール大学はプレスリリースを通じて、「理想体重の維持は、健康管理のうえで治療より優れている」として、体重管理において気をつけるべき4項目を発表しています。
- 愛犬の理想体重についてかかりつけ獣医師と話し合う。獣医師は年齢に応じた給餌量についてアドバイスできる
- 十分な運動をさせる。個体のサイズや犬種に適した運動をさせること
- 人間の食事のお裾分けはやめる。人間のすべての食事がペットにとって安全ではなく、ときに毒になることもある
- 体重をはかる。たとえわずかな体重の増加でも彼らの健康に大きな影響を与える可能性があります
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Salt, C., Morris, P. J., Wilson, D., Lund, E. M., & German, A. J. (2018). Association between life span and body condition in neutered client‐owned dogs. Journal of veterinary internal medicine.
[2] Research reveals overweight dogs may live shorter lives – News – University of Liverpool