今回は、ペットシッターとして開業するにあたって、何を考え何をしてきたのかを、具体的にお話させていただきます。ぜひ、前回の記事『ペットシッターになることを考えたきっかけと取得してよかった資格』とあわせてお読みください。
まずは事業形態を決めることから
ペットシッターを開業するにあたって、まず考えたのが、会社を設立するのか、個人事業として始めるのかということです。ペットシッターは、多くが飼い主さんのご自宅に訪問してペット達のお世話をするサービスですので、事務所を構える必要がなく、ひとりでも始められる仕事であることから、個人事業としてスタートする方が多くいます。
私も個人事業主としてペットシッターを開業しましたが、たった一人ではじめたということではなく、フランチャイズへの加盟という形態を選択しました。顧客の開拓や信頼獲得、さらには何かあった際は相談や協力をお願いできる関係を作りたいと考えたからです。わたし自身、ペットに関する資格を複数持っていましたので、ペットシッター士資格は取得しませんでした。
どのような体制で始めて、事業を進めていくかは、それぞれだと思います。可能な限り、初期費用を抑えながら、顧客を開拓をしていくことが大切になります。
第1種動物取扱業への登録は必須です
ペットシッターは、第一種動物取扱業の「保管」という業種に該当します。この動物取扱業は申請・届出等の手続き場所が市町村ごとに異なるので、各市区町村に確認する必要があります。申請書や安全計画などの書類を提出するほか、場合によって立ち入り検査を経て承認されると、晴れてペットシッター開業となります。
この申請にあたっては、動物取扱責任者を一人選任することになっています。わたしは、専門学校を卒業した経緯や取得資格の証明書を提出し、自身を選任することで認定されました。資格などがない方でも一定の要件(実務経験6ヶ月以上あること等)であれば選任を受けることができるので(執筆時点)、アルバイトで経験を積んだことで要件を満たし開業するということもあるようです。
ペットシッター保険に加入してリスクに備える
登録が終わり、いよいよ開業となった際には、リスクを考えてペットシッター保険に加入しました。ペットシッターは、お客様の自宅にあがって、お世話をさせて頂く仕事です。その為、万が一の事故やトラブルなどに備える必要があります。例えば、顧客宅で何かを破損してしまった、お世話中の犬が散歩中にトラブルを起こしてしまったなど、損害賠償にあたるケースに備えておく必要があるのです。初期費用を少なくすることはできますが、経済的なリスクも考えて損害賠償保険には加入しておくほうが安心です。
とにかく存在を知ってもらう。そのために工夫と努力!!
ペットシッターという職業は、地域性もありますが、専門業として行っていう方は少ないものです。また、店舗という形ではなく、自宅を事務所代わりにして行う方も多いことから、地域に認知して頂くということがスタート時には最も重要です。
広告を出したり、ポスティングを行ったり、インターネット広告を出すなどして、まずは目に止まるような工夫をしていきました。コストがかからないブログやツイッターなども有効に活用し、とにかく知ってもらう工夫をたくさんしました。公園などに行くと、ワンコ連れの方がたくさんいます。ちらしを配布ながら話しかけ、ペットシッターというサービスがあるのだと知ってもらうべく努力を続けました。
また、いつも愛犬がお世話になっている動物病院には、ちらしを置いて頂くようにお願いしました。知り合いなどを通して、ペットのお留守番を心配している方に、「ペットシッターがあるよ」「知り合いがやってるよ」と伝えてもらうことも効果がありました。全くの飛び込みより、知り合いからの口コミによって伝えてもらうことは、安心感を醸成するために顧客獲得につながったものです。
ワンコ、そしてお客様とつながるために管理は大切
ペットシッターは、お客様との信頼関係の上に成り立つ仕事です。シッティング(お世話)前にはお世話内容の打ち合わせを行い、顧客カルテを作成します。この顧客カルテは、ごはんやトイレ、お散歩コースに加え、お世話にあたって注意すべきことなどを詳細に記録しておくもので、これなくしては業務を遂行できないと思うほど大切なものです。
飼い主さんが求めているのは、ペットがくつろいで過ごすことができるように、できるだけ普段の環境のままでお世話させて頂くこと。その為にも、飼い主さんと共に、普段のペットの生活を振り返る作業が重要になってきます。また、万が一ペットの体調が悪い場合や緊急の際はどのような連絡を取るのか、動物病院に代行するときはどこに連れていくべきか(かかりつけの病院はどこか)を聞き出しておく必要があります。これらの重要な情報をすべて網羅しているのが、顧客カルテなのです。
これで準備が整いました。お留守の場合は大切な鍵をお預かりし、シッター業務の開始です! もちろん、ここからが本番で、お世話の際のペット達の様子は、体調はもちろん、好きなことやお気に入りの場所など、細かく記録しておきます。
ペットシッターとして一番大切なのは観察と記録であると感じます。
知識のブラッシュアップは命を預かる者の責任
動物取扱業を続けるためには、年に1回研修に参加する義務があります。お客様にとって大切な家族でもあるペットをお預かりする以上、常に専門的知識を勉強していく姿勢は重要です。ペットシッターは、高齢犬や高齢猫のお世話や介護をすることも多いので、病気などの知識や薬の種類などを勉強しておく必要があるのです。
新規開拓の為にも、地域を回りながら、日々、トリマーさんやトレーナーさんや近隣の獣医師など、ペットに関わる仕事をしている方との関係を作り、自分自身が困った時に相談できる方を作っておくことも、大切でしょう。
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