最近の調査によれば、関節炎に罹っているワンコは約25%ほどだそう。どのワンコでも罹る可能性のある関節炎について、今日は少し紐解いてみたいと思います。
関節とは?
ワンコが自由に走り回ったり、ジャンプしたり、そんな動作は関節があるからこそできる技です。関節は、骨と骨が連結している部分のことで、私たちと同じく、ワンコにもたくさんの関節があります。
関節を曲げ伸ばしするときに、関節内の骨と骨が擦れあってしまうと痛みが生じ、関節としてうまく機能しません。そのため、関節は特別な構造をしています。関節内の骨の表面は関節軟骨という軟らかい組織で覆われ、骨と骨が直接擦れあわないよう保護されています。また、関節は関節包や滑膜という膜の層に包まれ、関節が動きすぎないように調節されているのです。滑膜からは関節液が作られ、関節液は関節包内を満たし、関節軟骨に栄養を与えたり、関節が動くときの緩衝材として働いています。
関節軟骨は、主にコラーゲンと軟骨細胞、プロテオグリカンからできています。関節軟骨のプロテオグリカンは、コンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカンが蛋白質と結合した糖タンパク複合体です。プロテオグリカンは、関節液の成分でもあり、ヒアルロン酸などのグルコサミノグリカンと蛋白質が結合したプロテオグリカンが関節液に含まれています。
関節軟骨が擦れあうと、軟骨にダメージを生じますが、健康な関節であれば、プロテオグリカンが生成され、ダメージ部は修復されます。
変形性関節炎とは?
変形性関節炎とは、様々な要因により関節に炎症が発生し、時間の経過と共に関節の変形が起きる病気です。
要因としては、先天性の骨関節疾患(股関節形成不全や膝蓋骨脱臼など)や感染、自己免疫性疾患、外傷(前十字靭帯損傷など)、加齢などがあげられます。このような要因により関節に炎症が発生すると、関節は腫れ、痛みを伴うようになります。
こうした状態の関節では、関節内のプロテオグリカンが減少してしまうため、摩擦により傷ついた関節軟骨を修復することができなくなり、ダメージは広がってしまいます。さらに進行すると、関節軟骨を構成するコラーゲンや軟骨細胞も減少し、緩衝作用の働きを担っていた関節軟骨と関節液が少なくなり、骨同士がぶつかり合うようになってしまいます。すると、ダメージは骨にまで及び、骨が変形してしまうことがあるのです。
次回は、関節炎のサプリメントについてもお話させていただきます。アメリカの統合獣医ケアジャーナルで紹介された、関節炎のサプリメント“Connectin”に絞って取り上げます。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Randomized Double-blinded, Placebo-controlled Multi-center Trial of an Orally Administered Composition (Connectin®) for the Treatment of Canine Osteoarthritis – IVC Journal
[2] Connectin joint support | In Clover natural pet supplements
[3] Theresa W F et al. Small Animal Sugery.2nd ed.Mosby.2002
[4] Brian S.Beale,Diagnosis and Clinical Approach to OA in Dogs,バイエル薬品株式会社国際セミナー2012
[5] Pet lover’s guide to natural healing for cats and dogs (2005), Barbara Fougere, Saunders
Featured image credit Ksenia Raykova / Shutterstock
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