前回に引き続き、シニア犬の病気についてのお話です。
今回は、早期発見と予防のお話。病気の早期発見のためにどんな点に気をつければ良いのか、そして若さと元気を保つための”つぼマッサージ”についてお話します。
シニア犬のどんな変化に気を付ければいいの?
「お散歩!? やったー!!」「ねえ、ボール投げてよ~」などなどは、いろいろなボディランゲージで意思表示を試みるワンコ。一方で、「最近、トイレが近くなった気がするんだよねえ」とか、「最近、ちょっとだるいんだよねえ。」など、病気のサインかもしれない情報に関してはダンマリを決め込む傾向があります。
そこで、ワンコがシニアの仲間入りをするようになったら、こんな変化に気を付けてみてください。そして気づいたら、獣医師に伝えておきましょう。
もちろん、これ以外にも何か気づいたことがあれば、ぜひご相談を。飼い主さんの細かな観察は、獣医師の診断に役立つ貴重な情報です。
- お散歩の途中で止まることが多くなった
- 食欲が低下してきた、もしくは増加してきた
- お水を飲む量が多くなった、もしくは少なくなった
- おしっこの回数が多くなった、もしくは少なくなった
- うんちに時間がかかるようになった
- 家で寝ている時間が長くなった
- 少し元気がないようにみえる
- 今まで簡単にジャンプしていたところをしなくなった
- 家具など、物にぶつかることが多くなった
人では、病気を早期発見するため、人間ドックが推奨されるように、シニア犬でも定期的な健康診断は大切だと思います。ちなみに、最近は動物病院で「犬ドック」や「ドッグドック」と呼ばれる健康診断が行われているようですね。
つぼマッサージで健康増進
健康を維持するため、もしくは健康を回復するための基本的なツボと、これらを刺激するツボマッサージ法をご紹介します。
まず、全身をゆっくりとやさしくなでるようにマッサージします。
ワンコがリラックスしてきたら、LI-11のあたりをマッサージしてみましょう。このツボは、肘の骨があるのでごつごつしてマッサージしにくいかもしれないので、指先で軽くツボを押しても構いません。(できれば5秒から15秒間圧し、数回繰り返しましょう。)
次に、BL-11とBL-23をマッサージします。ツボの部位がわかりにくいときには、背骨から左右数㎝のところ(肋骨の間)を肩甲骨の前方あたりから腰に向かって指圧してみましょう。このライン上にはBLのツボがたくさん並んでいます。他のツボをマッサージしても全く問題はありません。ただ、BL-20周辺のBLツボは、腸を刺激する効果があるため、多少のおならは覚悟してください。
LI-11とBLのツボの後に、その他のツボをマッサージ(指圧)してみましょう。このスタンダードツボマッサージは週に1回程度行いましょう。
マッサージは、感染症や悪性腫瘍(ガン)に罹患している場合や急性炎症がある場合には禁忌となりますのでご注意ください。
もし、腎臓や肝臓、心臓など何らかの病気に罹ってしまった場合には、鍼灸で状態を改善させる効果も期待できます。ご興味のある方は、お近くの獣医鍼灸師にお問い合わせください。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Senior Pet Care (FAQ) | The American Veterinary Medical Association (AVMA),
[2] Renal Dysfunction in Small Animals – Urinary System – Merck Veterinary Manual
[3] Allen M. Schoen DVM MS, Veterinary Acupuncture: Ancient Art to Modern Medicine, 2e (2001) Mosby
[4] illiam D.Fortney, 犬と猫の老齢医学 (サンダース ベテリナリー クリニクスシリーズ 1-3) (2005) インターズー
[5] Liver Disease in Dogs: Symptoms and Causes | WebMD
Featured image credit Sarah Crawford / unsplash