オーストラリアのドッグトレーニング〜ピュア・ドッグ・リスナー・トレーニング法

世界の犬事情
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ところ変わればワンコの訓練だって変わるもの。

オーストラリアには面白いトレーニング法、ありますか?
そんな疑問を、オーストラリア在住の獣医師ルール・久枝さんにぶつけてみました。


人と犬が楽しい暮らしをするためには、人は犬を理解し、犬は人社会のルールを学ぶ必要があると思います。では、実際にはどんなルールをどのように教えていったら良いのか、また、飼い主さんはどのようなことを学んだら良いのか。答えは一つではないと思います。

日本と同じく、オーストラリアでも多くのドッグトレーニング法が実践されており、たくさんのドッグトレーナーさんが、人と犬が楽しい暮らしを送るための手助けをしています。

今回は、オーストラリアで行われている「ピュア・ドッグ・リスナー・トレーニング法」をご紹介します。

誰が考えたの?

ピュアドッグリスナートレーニング法は、イギリスやアメリカ、オーストラリアの経験豊かなドッグトレーナーが集まり、彼らの経験を持ちより生み出されたトレーニング法です。テレビやラジオでパーソナリティを務めているCaroline Spencerが主催者となり、アメリカやイギリス、オーストラリアでこのトレーニング法を紹介しています。
 

どんなトレーニング法なの?

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信頼関係だいじ © sanjagrujic / Shutterstock

ピュアドッグリスナートレーニング法とはどんなトレーニング法なのでしょう?

この方法を実践しているドッグトレーナーは、「ドッグ・ウイスパラー」とも呼ばれています。主催者は、「私たちはドッグ・ウイスパラーでもドッグ・リスナーでもなく、ドッグ・ウオッチャーなのかもしれない」と言っています。

ピュアドッグリスナートレーニング法は、犬のボディランゲージから、彼らが何を伝えたいのか、どんな感情を表しているのかを読み取り、そのうえで犬が人とのコミュニケーションスキルを習得できるよう導くようなトレーニング方法です。

犬は私たちの社会について何も知りません。ときに、犬にとって人社会はめまぐるしい大変な世界かもしれません。それでも、人と犬が一緒に暮らすためには、犬は人とのコミュニケーション法やルールを学ばなくてはなりません。このトレーニング法では、犬に何かをするように厳しくしつけるのではなく、犬のボディランゲージを学びながら、犬にどのようにしたらよいのかを見せながら教えていきます。

時間がかかることもありますが、辛抱強く、感情的にならずに、落ち着いたやさしいトーンでトレーニングを続けることにより、犬と人との間に真のコミュニケーションが成立することを目指しています。こうして培ったコミュニケーション法は、人と犬とがお互いを理解するために、長く役に立つものになるでしょう。

犬は、人とのコミュニケーションが可能なバイリンガルへと成長できるのです。

「1−2−1トレーニング」とセミナー

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みんなで参加 © sanjagrujic / Shutterstock

このトレーニング法を習得する方法は二つあります。「1−2−1トレーニング」とセミナーへの参加です。

1−2−1トレーニングは、犬が住んでいる家で行います。トレーニングを受けるのは、犬と飼い主さんだけではなく、その犬に関わる人(家族など)すべてになります。レッスンでは、約4〜5時間かけてピュアドッグリスナートレーニングはどのようなトレーニング法か、どうして犬は問題行動を起こしてしまうのか、いろいろな問題行動に対してどのように対処したらよいのかを説明し、実際のトレーニング法を紹介します。その後、1週間の間にその犬に必要なトレーニングプログラムが作成され、飼い主さんに渡されます。そして、初回レッスンから2週間の間にプログラムを実践し、次のレッスン日を話し合うというものです。

その他に、1日もしくは2日間のセミナーに参加してトレーニング法を学ぶこともできます。(追加)”Pure Dog Listening Seminar”などの検索語を使って検索してみると、様々なコースが見つけられます。

実際のトレーニング法をちょっとご紹介

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落ち着こうね © sanjagrujic / Shutterstock

ピュア・ドッグ・リスナートレーニングについて、興味を持っていただけましたか?具体的な例のひとつとして、雷や花火など大きな音に怯える犬に対するトレーニングをご紹介しますね。

雷や花火の音などに怯えて犬が部屋の片隅に逃げてしまうときがあります。そんなとき、飼い主の方はどのような対応をしていますか? ピュアドッグリスナートレーニング法では、飼い主さんは以下のような対応をするよう推奨しています。

怯えている犬を抱っこしたり、慰める言葉を掛けたりせず、無視して落ち着いた行動を示します。犬は飼い主さんの鏡ともいわれ、飼い主さんがパニックになってしまうと犬も一緒にパニックになってしまいます。そこで、飼い主さんがリーダーシップを取り、リーダーが落ち着いた行動をとっていることを犬に見せてあげます。大切な愛犬が怯えているのを無視することは辛いかもしれませんが、犬は人とは違って怯えているときに抱きしめられることを快くは思いません。犬がストレス状態にあるときに抱っこなどで束縛してはいけません。ここで重要なのは、犬は犬であることを我々人が理解することなのです。


犬をバイリンガルにすることを目指すというのは、とても興味深いことですね。人と上手にコミュニケーションができる能力を向上させることができれば、絆は深まりそう。興味をお持ちになった方は是非、参考サイトも覗いてみてください。

 

参考サイト:PURE DOG LISTENERS – Creating A Bond Built On Friendship And Trust

Featured image by sanjagrujic via shutterstock

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