犬の老化〜視力の変化に合わせた愛犬のお世話 リラックスのための経穴マッサージ

シニア
この記事をシェアする

遠くをじっと見つめるワンコの姿・・・何かを見つけたのか、はたまた、音やにおいのする方向に何かを見つけようとしているのか??

私たちよりも数倍は視力がよさそうにも思えるワンコ たち。しかし実際の視力はそれほど良くもないのです。動物の視力を調査した研究によると、ワンコの視力はおよそ0.3程度という結果が得られています。一方、動体視力は人よりも優れており、およそ800~900m離れたところで動く物体を認識できることが明らかにされています。おそらく、遠くで蠢く獲物(小動物)を認識できるよう持ち合わせた能力なのでしょう。

それでは、加齢と共にワンコの目にはどんな変化が訪れるのでしょうか?

加齢による眼科疾患

1576 1 thewoof

image by Tony / Flickr

目が白くなる白内障や核硬化症は、シニアワンコによくみられる目の病気です。

白内障は進行してしまうと、視力の低下や失明を伴い、最終的な治療法は手術だけになってしまうため、早期発見・早期治療が大切です。一方、核硬化症は、白内障の併発などがなければ、著しい視力の低下を伴うことは少なく、特別な治療は不要です。目が白っぽくなってきたかな?と思ったら、早急に動物病院で診察を受けましょう。

白内障の原因や効果的なサプリメントなどについては、『犬の白内障〜目が白くなったら白内障?どんな病気でどんな治療法があるの?』の記事でご紹介していますのでご参照ください。

視力が低下または視力を喪失したワンコとの暮らし

1576 2 thewoof

image by HackBitz / Flickr

私たち人間は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感のうち、主に視覚に頼って生活しています(五感のうち、視覚の利用率はおよそ83%といわれています)。一方、視力があまりよくないワンコは、優れた嗅覚を筆頭に、聴覚、視覚、味触覚の順番で五感を活用していると考えられています。

ワンコの視覚利用度は人より低いものの、視力が低下したり、失明してしまうと、怪我をしやすくなったり、生活にいろいろな支障がでてきます。では、そのようなワンコとの暮らしでは、どんなことに気を付ければいいのでしょうか?

・コミュニケーション

ワンコに近づいたり、触れたりするときには、声を掛けながら脅かさないよう気を付けましょう。もし、他のワンコや猫が一緒に暮らしているお家では、その子たちに別々の鈴をつけると、誰かが近づいてきたことがわかります。

・お散歩

視力が低下したり、失明してしまったワンコにとっても、お散歩はお楽しみイベントの一つです。いろいろなにおいをかいで、刺激を受けさせ、ワンコワールドを楽しませてあげましょう。ただし、臆病なワンコの場合、視力を喪失してしまうとお散歩を嫌がることがあります。お散歩は各ワンコの体調と性格にあわせて調整しましょう。

また、適切な運動をすることも健康維持のためには大切です。できれば、危険の少ない、シニアワンコに適当なお散歩コースを選んであげるとよいでしょう。

関節炎に罹患しているワンコは、アスファルトなど硬い道路の上を歩くことで痛みを生じることがあります。できれば、芝生など軟らかい地面の上をお散歩しましょう。また、深い砂地(砂浜など)は肢に負担をかけることがあるので注意しましょう。

お散歩中は必ずリードを付け、事故に巻き込まれないよう十分に注意してください。

・家の中での過ごし方

ワンコは視力が低下・喪失してしまっても、通常は慣れ親しんだ家の中を歩き回ることができます。そのため、危険を回避する以外は、できる限り家具の配置は変えないことをおすすめします。

また、階段や高い段差など、ワンコにとって危険な場所の手前に特定のマットを敷いておくと、ワンコは危険を察知することができます。さらに、そのような危険な場所にはゲートを取り付けてワンコが立ち入らないよう対策しましょう。

そのほかには、視力が低下・喪失したワンコは、家具やドアなどにぶつかってしまうことが多くなります。そのため、鋭利な家具の角には保護マットなどを付け、怪我を防止しましょう。また、滑りやすい床の場合には、ワンコが歩くところに滑り止めマットを敷いてあげると転倒防止になります。

視力を喪失してしまったワンコが物にぶつかることを防止するために作られたハーネスが販売されています。ワンコが嫌がらないようであれば、そのような介助ハーネス*を利用してみるのもよいかもしれません。

・新しいコマンド

危険を回避するためにも、“待て(ストップ)”や“右”、“左”というコマンド(号令)を訓練しておくと、とても役に立つことがあります。

目の周りにある経穴とマッサージ

ここでは、目の周りにある5つの主要なツボ(経穴)をご紹介します。これらのツボは、目の病気改善や健康増進のほか、免疫や肝臓などに異常がある場合には、それを良化させるという効果もあるといわれています。
 
それではマッサージ法です。まずは、ワンコがリラックスできるよう、背中やお腹、肩などからマッサージを始めます。リラックスしてきたら、頬のマッサージをしてみましょう。ワンコが嫌がらないようであれば、目の周りをなでるようにマッサージし、上記のツボの部分を軽く圧すようにマッサージしてみましょう。1つのツボをやさしくゆっくりと5回ずつ押します。

白内障と診断されたワンコには、2~3日毎、目の健康維持のためには、週に1~2回のマッサージが効果的でしょう。

ただし、目に炎症や感染がある場合、鍼灸やレーザーなどによる経穴刺激は効果がありますがマッサージは禁忌です。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Paul E. Miller and Christopher J. Murphy, Vision in dogs
[2] Paul E. Miller, Vision in Animals – What do Dogs and Cats See? – Waltham – OSU Symposium
[3] 視覚障害者の視覚認知・空間認知と歩行環境整備 (2009) 柳原崇男, 土木計画学研究
[4] Pets with Disabilities: Blindness in Dogs – Texas A&M Veterinary Medicine & Biomedical Sciences
[5] How to Give Your Blind Dog a Great Life
[6] Living with a Blind Dog: Helpful Tips

Featured image credit Marji Beach / Flickr

the WOOF イヌメディア > すべての記事 > イヌを育てる > シニア > 犬の老化〜視力の変化に合わせた愛犬のお世話 リラックスのための経穴マッサージ

暮らしに役立つイヌ情報が満載の「theWOOFニュースレター」を今すぐ無料購読しよう!

もっと見る
ページトップへ