これから数回にわたって、老齢犬に関するお話をさせていただきます。以前、2回に分けてお届けした『ワンコのエイジングケア』は、主に統合医療的な視点から執筆いたしました。今回はもう少し身近な、普段の生活に役立つ情報などを含めた内容にする予定です。
犬の年齢〜人に換算すると何歳なの?
ワンコがシニア世代に突入するのは、体重によって異なりますが、およそ6~9歳ごろです。では、シニアワンコの年齢は、私たち人間の年齢に換算すると何歳くらいになるのでしょうか??米国獣医師会(AVMA)では、以下のようにシニアワンコの年齢を人の年齢に換算しています。
ご長寿さんとご長寿ワンコ
誇り高いことに、ギネス世界記録に登録されている男性世界最高齢記録保持者は日本人です(木村次郎右衛門さん、116歳 2012年12月17日以降長寿世界一)。長寿を誇る日本ですから、最高齢ワンコも日本から…と言いたいところですが、残念ながら日本のワンコではありません。ギネス世界記録に登録されている最高齢ワンコは、オーストラリア在住ワンコのBluey(ブルーイー)です。
Blueyは、オスのオーストラリアン・キャトルドッグ。1910年に生誕し、オーストラリア・ビクトリア州の牧場で牛追い&羊追いのワーキングドッグとして20年間活躍しました。そして1939年、29歳5ヵ月という年齢で、その生涯を終えたのです。
しかし実は、最高齢ワンコは29歳ではなく30歳とも言われています。昨年2016年、30歳のオーストラリアン・ケルピー、Maggie(マギー)が永遠の眠りについたことが話題になりました[2]。偶然なことに、MaggieもBlueyと同じくオーストラリア・ビクトリア州の牧場で30年間を過ごしました。残念ながら、Maggieの飼い主さんが血統書を失くしてしまったため、ギネス世界記録に登録されることはありませんでした。
毎日走り回ることの多い牧場でのワーキングドッグとしてのお仕事、そして、肉付きボーンなど、ワイルドなフードにありつけるであろう牧場での生活は、ワンコのとって長寿の秘訣なのかもしれませんね。
シニアワンコによくみられる変化
私たちと同じく、ワンコも年を重ねるごとに体にいろんな変調が起こります。シニア期に突入したワンコは、被毛に白いものが増えたり、艶がなくなるなど見た目に変化が現れてきます。そして体の内側(臓器)にも変化が現れ、心臓、腎臓、肝臓の病気やがん、関節炎などを発症する可能性が高くなります。
活動や行動にも変化が現れます。動くのを嫌がったり、走ったり歩いたりのスピードが遅くなったり、毎日ぼんやり過ごす時間が増えたりします。こうした行動の変化は、なんらかの体の不調を示すものであると同時に、老化を表すサインでもあります。
シニアと呼ばれる年齢を超えた愛犬の様子に老化のサインが見られたら、老いを受け入れ、元気で穏やかな老後を過ごせるよう工夫することが大切です。愛犬がシニアライフを満喫できるよう、情報を集めて様々に準備をしておきましょう。
これから数回にわたって、シニアワンコによくみられる変化についてお話をさせていただきます。視力や睡眠の変化、シニアワンコに起こりやすい病気、腫瘍(癌)、問題行動(痴呆)、関節炎といったテーマを取り上げる予定です。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Oldest dog | Guinness World Records
[2] ‘World’s oldest dog’, 30, dies at home on Australian dairy farm | World news | The Guardian
[3] Senior Pets | AVMA
[4] Senior Pet Care (FAQ) | AVMA
Featured image credit Chris Neal / Flickr