犬は飼い主に似るってホント!? ～納得の理由あれこれ～

by 竹下聖

サイエンス・リサーチ 2015.05.06

お散歩途中に出会うワンコと飼い主さんが、不思議と似ていることってありますよね。

海外から届くネット記事などで、飼い主さんとワンコたちが驚くほどそっくりな画像を見つけてびっくりすることも少なくありません。

イヌは本当に、飼い主さんに似るのかな?　そんな疑問に答えてくれそうな記事”Why You Look Like Your Dog”を、米国の総合雑誌”The Atlantic“のネット版で発見しましたよ!

髪の長い女性はたれ耳ワンコがお好き?

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この記事による分析はまずはワンコたちの体型から。ここ50年で米国人の体重は劇的に増加していますが、人間に飼われているワンコの体重も、同様に増えているそうです。1970年には飼い主さんが肥満体型だと、飼っているイヌも同様に肥満と報告されています。ドキリとしますね。

さらに1999年にある女子大で実施された調査によれば、長い髪の女子学生はピンと耳の立ったイヌより、スパニョールやビーグルなどの耳の垂れたワンコに可愛さや賢さを感じる結果になったそう。一方で、髪の短い女子学生は全く逆の結果だったとか。人間は無条件に自分と似た容姿のイヌに愛着を感じる傾向があるのかもしれません。また気難しい性格の人は攻撃的な犬を好きになることも報告されています。なるほど、面白いですね

ワンコは飼い主の鏡なのかも

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さらに記事では、イヌが本能的に飼い主の真似をすることを伝えています。2011年の調査では、イヌに頭か手（前足）のどちらかでドアを開けさせる実験を行ったところ、ご褒美を与えた方法よりも飼い主と同じ方法でドアを開けることがわかったそうです。生まれ持った習性や自分の好みよりも、大好きなご主人さまの行動を忠実に真似るワンコさん。

「子は親の鏡」と言いますが、長い間一緒にいるうちに、体型や動作などが自然とパパ＆ママである飼い主と似てくる秘密はこんなところにあるようです。

日本のおもしろ実験にも注目しよう

日本でも、イヌと飼い主の類似性に関する研究は行われています。関西学院大学の中島定彦教授（心理学）が2006年に行った、飼い主とイヌの顔写真を用いた実験は、世界的に注目を集めました。

International Society for Anthrozoologyが発行する英国の学術誌『Anthrozoos』に掲載された論文[1]には、飼い主とイヌの写真について正しい組み合わせをつくる（または選択する）という実験の結果が報告されています。「正しく組み合わされた犬と飼い主のペア20組（正セット）とペアを入れ替えた20組（誤セット）のうち、どちらが正しい組み合わせかを事情を知らない186名の判定者に判断してもらったところ、115名（62%）が正セットを」選んだことなどから、同教授はブログ上で「犬と飼い主は似ていることが日本でも確認されたといえます」とまとめています。

同様の実験はアメリカやベネズエラなど海外でも行われていますが、これらの国の飼い主らに比べると、顔の違いが小さい日本人を対象としたことが、この研究のユニークなところだと同教授は述べています。

ポイントは人間とワンコの「目」

Courtesy of Dr. Sadahiko Nakajima

中島教授はさらに「人間とイヌのどの部分が似ているのか?」に注目して実験を行い、その結果を『Anthrozoos』誌に発表しました[2]。この実験では目の周りの部分や口を隠した「飼い主とイヌのペア」の写真を用意。判定者547人に見せたところ、目を隠していない写真では6７～80％と高い確率で判定者が正確なペアの写真を選んだそうです。一方、目を隠した写真では正解率は50％前後に落ちたとのこと。同教授はこれらの実験結果を受けて、「「犬と飼い主が似ている」と判断するには目が重要であることがわかります」と結論づけています。

これからはお散歩の途中で出会う人間とワンコの「目」に、こっそり注目してみるのも面白いですね。