慢性的に痛みに苦しむ人は、犬と一緒だと睡眠の質が改善される(かも)(研究)
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慢性的に痛みに苦しむ人は、もしかしたら犬と一緒に寝ると、睡眠の質がよくなるかもしれません。
カナダのアルバータ大学の研究者らが発表した論文は、「寝室からペットを締め出すという典型的なアドバイスは、人間と動物が共に寝ることによる好ましい結果を無にするものだ」と、睡眠の質を高めるうえでの犬の役割を高く評価しています。
犬とベッドをシェアすることについては、賛否両論、様々な意見がありますよね。「一緒にいると落ち着く」「ぬくもりと安心感でよく眠れる」という意見もあれば、「衛生面で問題あり」「ペットに気遣いして安眠できない」といった意見もあります。
さて、身体をに慢性的に痛みを抱える人は、一般的に睡眠に問題を抱えていることも多いものです。これらの人が犬とベッドを共有するというのは、あまり良い考えとはいえなさそうに思えます。犬に良い場所を取られたり、腕枕をさせられたり、何かと制約が多そうですからね。本研究の筆頭著者であるCary Brown氏も「もし、ヘルスケアの専門家に質問したら、ペットを寝室から追い出すように言われると思います」と語っています。
しかし、『Undercover Dogs: Pet Dogs in the Sleep Environment of Patients with Chronic Pain』と題された本研究が示すのは、全く逆の内容です。慢性疼痛に苦しむ人が犬と一緒に寝ることは、「彼らにとって、もんのすごくポジティブな効果がある」のだそう。
え?そうなの?
Brownは言います「人々は、寝る前に抱き合うなどの愛犬との身体的接触を好みますし、そうした接触は、夜の孤独からくる不安な気持ちから気を逸らすものです。よりリラックスし、安心感を得ることができて、不安を感じずにすむのです」
「リラクゼーションとケアの感覚は、私たちの体内でポジティブなホルモンを放出させるもの。これは、私たちの睡眠の質を高める助けとなります」
慢性的な健康問題があると、しばしば人は孤独を感じるもの。しかし犬の存在が孤独感をやわらげ、安眠に導くのだとBrownは言います。「それまで一緒に寝ていたペットを寝室から出すというアドバイスは、思わぬ結果を招くことがあります。慢性的な痛みを抱える人の中には、犬や猫がつくり出す快適さが唯一の助けとなっている人もいて、ペットを追い出すことはこの快適さをも失うことになります」
研究はまた、ペットたちが私たちに就寝のルーティンや日中の活動をもたらす効用も示しています。
「良い睡眠のためには、毎日同じ時間に起き、日中に活動的であることが大切です」犬猫は一般的に、毎日のルーティンを守るものですし、日中は活動をしたがるものです。動物たちをベッドルームから追い出すと、これらのルーティンからも遠ざかってしまうと言うのです。
なんとなく飼い主の肌感覚には合う研究ですが、ペットをベッドルームに入れることによる衛生上の問題は残りますし、ペットがいると夜間に覚醒する可能性は高くなるという問題もあります。2017年にオーストラリアで行われた研究によれば、ペットと寝ている研究協力者の約70%が夜中に定期的に目を覚ますと回答しています。
そして、本研究が飼い主へのインタビューデータの内容分析という質的な手法により行われたものであること、そして規模が極めて小さいという問題もあります。「慢性疼痛患者の睡眠の改善には、犬と一緒に寝ると良い」と言い切るには、極めて弱い結果である点は否めません。
まぁとはいえ、痛みに苦しむ人たちが犬猫の存在に癒されるというのは、飼い主目線では大きく納得できます。寝室に招き入れることの科学的な是非は更なる研究結果を待つべきですが、一緒にいた方が良く眠れるというのなら、それはそれで良いのかもしれません。
犬と一緒でも、犬がいなくても、犬のようにぐっすり寝ようね!
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Brown, C., Wang, Y., & Carr, E. (2018). Undercover Dogs: Pet Dogs in the Sleep Environment of Patients with Chronic Pain. Social Sciences, 7(9), 157.
[2] Letting your dog sleep with you is good for chronic pain sufferers, new study shows
Featured image creditRafal Jedrzejek/ unsplash
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