カンヌ”パルムドッグ”2016〜今年3月に死去したブルドッグのネリーに栄冠

注目のワンコ
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多くの映画ファン、そして犬たちの注目を集めるカンヌ映画祭。映画の発展に貢献するため、そして作品を援助する目的で開催されるこの映画祭は、今年で69回目。素晴らしい作品、俳優、製作陣が讃えられる映画の祭典では、優秀な演技を披露した犬たちにも賞が贈られます。

『パターソン』のブルドッグ”ネリー”が受賞

演技が光る俳優犬に贈られる、名誉ある賞”パルムドッグ”。2001年にトビー・ローズによって企画され、以来毎年、批評家たちの選考で選ばれた映画祭で上映された映画の中で優秀な演技を披露した1匹またはグループの実写もしくはアニメーションの犬に “PALM DOG” と記された革の首輪が贈られ[1]ます。

今年の受賞犬は、ジム・ジャームッシュ監督の『パターソン』に出演したブルドッグのネリー(Nellie, イングリッシュ・ブルドッグ)が受賞しました。しかし、ネリーは3月に死去(享年8、なんらかの犬の病気による)しているため、残念ながら私たちの前に元気な姿を見せてくれることはありません。

これでネリーは、虹の橋の向こうでパルムドッグを受賞した初めての犬となりました。

元保護犬が見せた渾身の演技に

プロデューサーであるローガン氏(Carter Logan)が「素晴らしいパフォーマー」と絶賛する演技力を持つネリー。彼女も、多くの偉業を成し遂げた犬たちと同様に元保護犬からのスタートでした。

ローガン氏は、たくさんの犬の中から「ユニークな声で自らを表現する」ことができるネリーを起用。ネリーは映画の中で”マーヴィン”という名の、主人公の妻を愛するオス犬の役を演じました。アダム・ドライバー(Adamu Driver)演じるバス運転手に嫉妬し、彼が近寄ってくるとうなり声をあげるという難しい演技もこなしたそうです。犬種特有の忍耐強さに加え保護犬時代の経験が、彼女の演技に深みをもたせたのかもしれませんね。

授賞に際してローガン氏は、「保護犬たちを迎え入れてください。犬を買うのはやめましょう。ネリーのためにも」と訴えたということです。

犬と犬の福祉に貢献した人が讃えられる”パルムドッグ”

パルムドッグ賞には、他にも”Dogmanitarian award”と”Grand Jury Prize”という2つの賞が設立されています(2015年〜)。

Dogmanitarianは、人道主義を意味するhumanitarianをもじった言葉で、犬の福祉増進に貢献した制作陣などが選出されるようです。今年はI, Daniel Blakeに3本脚の雑種犬を起用した映画監督兼脚本家のケン・ローチ氏(Ken Loach)が選ばれてします。

また、Grand Jury Prizeを獲得したのは、In Bed With Victoriaに出演したダルメシアン。こちらもまた、名演技を見せてくれているようです。

素晴らしい犬達、そして犬に心を配る人たちの活躍で、あんまり幸せでない犬たちに注目が集まるというのは本当に良いことだし、ありがたいことですよね。日本でも、もっと保護犬に注目が集まると、いいなぁ。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
Cannes: Nellie Takes Palm Dog Honor for ‘Paterson’ – Hollywood Reporter
Luxemburger Wort – Cannes Palm Dog prize awarded posthumously

Featured image from The Palm Dog Awards

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