我が家の歴史に犬あり~『6ぴきと8にん物語』

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皆さんこんにちは!! 読書犬パグのぐりです。お元気ですか? 

11月に入り、関東地方も朝晩がだんだん寒くなってきたってNさんが言っていたよ。そのわりにNさん、朝起きてから出勤までは半そでで。「家事するときに袖がないほうが好都合」とか言ってる。風邪には気を付けてほしいものです。

我が家の犬歴史

6ぴきと8にん物語

さて今日は、「我が家の犬歴史」を書いた本をご紹介しますね。『6ぴきと8にん物語』(吉永みち子著 NHK出版 1999年)は、ノンフィクションライターとして有名な著者が、自分の家で飼ってきた6匹の犬と家族のことを書いた本です。吉永さんというと、テレビのコメンテーターとしても有名だよね。歯切れよくコメントする彼女は、元・騎手の妻で、1985年には『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。

この本は、吉永さんの幼少期から始まります。なんと吉永さん、自身の父親が60歳、母親は40歳の時の子どもだそうで。その父は動物が大好きで、たくさんの犬や猫、そのほかの動物を飼っていたのですが、吉永さんが生まれるまでに人に譲って、最後まで手放さなかった猫の“祥子”だけが吉永さんを迎えたそうです。

その祥子と大の動物嫌いだったお母さんとのやり取りが秀逸なんです。この本の最初の見どころはそこです。

”祥子“は、母と結ばれるずっと以前から父が飼っていた猫だった。”祥子“にしてみれば、それまで独占していた父を母との結婚によって、母にとられたような気分があったのではないか、と想像する。(p7)

そう。猫も嫉妬しますよね。僕も、初めて赤ちゃんがきたとき、戸惑ったもんなあ。猫の祥子さんはあからさまにお母さんに嫌がらせのようなことをするから、かなり頭もよかったんだと思います。

間に挟まれるお父さんは、まるで嫁姑の仲をとりもつ夫のような役回りだったみたい(笑)。

子連れの騎手と結婚して

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image by Mac-leod / Shutterstock

その後だいぶたって、大人になった吉永さんは、奥さんが亡くなった子連れの騎手の方と結婚。3人の子どもの母親になりました。そしてその後、4人目の子どもも生まれ、自身のお母さんも一緒に住んで、家族は7人に。この本は自分のお父さんも最初に登場するから、登場するヒトは8人。これで本のタイトルの人数になります。

では「6ぴき」は? スタートは結婚後しばらくしてから吉永家に迷い込んできた雑種のケン。柴犬の血が入っていそうな、りりしいケン。最初は飼い主を探しましたが見つからず、結局吉永家の庭で飼われることに。何歳できたのかわからないけれど、ケンは吉永家の犬として一生を終えました。

その後、ひょんなことから、吉永家にはコーギーの「ラビ」がやってきます。このラビが最初のお産で産んだのが「タロ」。次のお産で生まれたのが「リキ」と「テツ」でした。

このコーギーの親子の様子は、人のきょうだいを見ているようでもあり、興味深いです。

犬の子育てから学ぶこと

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image by PozitivStudija / Shutterstock

ラビの育児方針がおもしろいのです。人は20数年親子が一緒に暮らすことも少なくありませんが、犬はもっと早くに子どもが独り立ちしていきます。だから母犬は、限られた時間の中で子どもたちが生きていくのに本当に必要なことを教えていきます。

(人は)「これができなければ生きていけないんだよ」ということより、「これができれば、人より優れていると評価されるだろう」とか、「ほめられるだろう」ということがつい優先されたりしてしまう。つまり、付加価値をつけることのほうに一生懸命になって、親から離れて子どもがひとりで生きるのに必要なことを教えるのは後回しになっている。(p52)

Nさんはこの一文を読んで深くうなずいていました(笑)。

いつまでも親がいるという前提に立っている人間と、親はついていてあげられないという犬の前提。「どちらの前提が正しいか」と問われたら、「犬のほうかもしれない」と答えると思う。(p52)

と文章は続きます。犬のラビの子育てから、吉永さんは実にたくさんのことを学んでいたんだなということがよくわかります。そして、自身の長男が高校から家を出ることになったとき、限られた時間の中で本当に伝えなくてはいけないことはなにかを厳選した時のことを振り返っています。

吉永さんは、いろいろな理由が重なって、この本の最後のほうでは、次男(4人目のお子さん)と一緒に東京でマンション暮らしをすることになります。様々な理由で、もう犬は飼わない、と思っていた吉永さんですが、ここでもあるきっかけからめずらしい犬種の仔犬を迎えることに。ミニピン、つまり、ミニチュア・ピンシャーです。「ミニ」というくらいですから、本当に小さいんだって。仔犬は片手の平にのってしまうくらい。このピンシャーの「テリー」は、吉永さんの息子くんに大きな変化をもたらします。

犬を飼うというのは、人にとってけっこう覚悟のいることで、そして飼い始めたら始めたで世話も大変だと思います。吉永家も例外ではなく、特にコーギー一家との同居はいろいろな事件が多発していました。でも、家族それぞれが、自分のスタイルで犬たちを愛している様子が伝わってきたよ。ぜひぜひ読んでみてください。


6ぴきと8にん物語
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Featured image creditVellicos/ shutterstock

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