こんにちは! 読書犬パグのぐりです。
先日、我が家の幼稚園児さんたちが、芋ほりに行ってきたって、大きなサツマイモを持って帰って来たよ。ぼくもちょこっとご相伴にあずかったんだけど甘くておいしかった~ もう季節は冬だけど、こういうほっこりする食べ物好きだなあ。もっとたくさん食べたかったけど、太っちゃ大変ということで、味見程度でした。残念!
面白い名前の姉弟とハル
さてさて、今日ご紹介するのは、ある姉弟と老犬の物語『はるがいったら』(飛鳥井 千砂著、集英社)。この小説を読んだあとは、サツマイモを食べたときみたいに、なんとなくほっこりしたよ。
ハルは14歳の雑種犬。行(ゆき)という高校生の男の子に飼われています。といっても、もう老犬で、自由に動くことは難しく、行の部屋で介護を受けているんだ。ハルには園(その)という姉がいます。園は短大を卒業して今はデパートで受付嬢をしている。この姉弟の両親は数年前に離婚していて、行は父親に、園は母親に引き取られたんだけれど、父親は後に真奈美という女性と再婚し、今、行には一つ上の忍という兄がいます。園は一人暮らし中。
ハルは、行が5歳、園が小学3年のときに公園で拾った犬。季節が春だったから、暫定的にハルと呼んでいたんだけれど、そのまま本名になったんだって。この小説は、ハルの周りの人物たちの日常を追った物語。なんだけど、それが面白いの。最後まで飽きさせないよ。
病気! 事件! 物語から目が離せない
行は小さいころから体が弱くて、よく入退院をしているんだけど、高校生になったある日、また高熱を出し、意識を失ってしまう。検査をしたら肺炎で、入院することに。2人部屋で隣のベッドには高校教師の宮本さんがいたり。宮本さんが長年同棲していた女性が見舞いにきたり。そして喧嘩したり。行の高校の同級生のなっちゃんもお見舞いにきてくれたり。このなっちゃんと行の関係も不思議で面白い。そして不思議といえば、園と、親の離婚前に住んでいた家のお隣に住んでいた恭司の関係も不思議。どう不思議なのかは読んでみてください。
さて、行が入院してから、ハルの面倒は園がみることになった。自分のアパートへ運び、介護を始めるのだけれど、ハルは遠くの昔に別れた園のことをちゃんと覚えていた。園はびっくりする。でも犬ってみんなそうなんじゃないかなあ。小さいときに自分を助けてくれて、一緒に暮らして、一緒に遊んで、お世話をしてくれた人のことは絶対に忘れないと思うよ。
ハルが園の家に来てから、いろんな事件が起こるんだ。ポストに不審な手紙が入っていたり、非通知番号から携帯電話に何度も無言電話がかかってきたり。もしかして、ハルを運んだ時に(夜だった)、誰かに見られた? その人からの嫌がらせ? でもその人が携帯の番号まで知っているとは思えないし… で、この事件は意外な方向にいって解決するのだけれど、その頃に、ハルが死んでしまうのね。行と、園がいる部屋で。
そう、この本のタイトル『はるがいったら』は、漢字にすると「ハルが逝ったら」なんだ。ハルが亡くなった後、行と園、父親と姉弟の実の母親、忍、そしてなぜか園のお隣さんの小川君が登場する。ハルがいたことで、この不思議な顔合わせが実現されたとも考えられるよ。
作者の介護体験が元に
作者の飛鳥井千砂さんはこの作品で第18回小説すばる新人賞を受賞されています。その後も意欲的に作品を発表されていますが、この『はるがいったら』を書かれたきっかけは、飛鳥井さんご自身が小さいときから飼っていた愛犬を看取ったことだったそうです(参照:愛知淑徳大学 活動情報サイト AS LIVE! )。なるほど、確かにハルの介護の場面はとても詳細でしたが、経験者が書かれていたのですね。
僕ね、この本読んで、これ、誰か映画にしてくれないかなーって思った。どの登場人物も、癖がないようでいてひと癖あって、にくいようでにくめなくて。みんな魅力的に描かれているから。映画にしたら絶対に面白いと思うんだけど、どうかな。読み終わってから、行はあの俳優さん、園はあの女優さん…って思い浮かべるのも楽しいと思うよー。
ではまた、面白い本を見つけたら紹介しますね。
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