【犬本紹介】待望のエッセイ集『いのちの車窓から』〜柴犬が好きで、人が好き

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皆さんこんにちは! 地上はもう新緑の季節かな? だんだん温かくなってきて、散歩も楽しい気候だね。

僕は天国在住の読書犬・パグ犬のぐりです。病気で、突然この3月からこっちに来たんだけれど、本も雑誌も読み放題、DVDも見ることができて、快適。そりゃもちろん、Nさんはじめ、地上での家族に会いたい気持ちはあるけれど、こちらでも元気に暮らしているから、心配しないでね。

ぷりぷりの柴犬

いのちの車窓から

さて、今回ご紹介するのは、今話題のあの方の新刊。『いのちの車窓から』(星野源著 KADOKAWA 2017年)は、歌手・俳優、そして文筆家でもある星野さんが、月刊誌『ダ・ヴィンチ』の連載で、2014年~2017年に書かれたエッセイをまとめた1冊。書下ろしの「文章」と「柴犬」を加えた、30本が収録されています。

星野さんといえば、「恋」。昨年はドラマと共に大ヒットでしたね~。nちゃんたちも紅白見ながら踊っていたなあ。懐かしい(ほろり)。

その星野さん、このエッセイによれば、柴犬が大好きだそうです。ある日、近所で遅い朝食をとっていたところ…

ミートボールを口に運ぼうとすると、ふと視界の左脇下方に、ベージュの生き物がぷりぷりと侵入してきた。

柴犬である。(p121)

たしかに、柴犬って、「ぷりぷり」した感じ、あるかも! 可愛いよね。賢いし。僕も大好き。しかし、この後に続く文章には、僕の「柴犬が好きなの」なんていう言葉よりも、数倍も数十倍も大きな柴犬愛が込められているの。

きっと犬好きの方には「わかる~その気持ち!」と思わせ、それほどでもない人にも「え?そうなの? 柴犬ってそんなによかったっけ?」と、グーグルで「柴犬 画像」と検索させてしまうくらいの力を持っているのです。すごいなあ。

正直な人

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image by ChikoBirdyhof / Flickr

実際にお会いしたことはありませんが、この本を読んで僕が感じたのは、星野さんてきっと、正直な方なんだろうな、ということです。それは、この柴犬への真っ直ぐな愛をはじめとして、エッセイに登場する身近な方々に関する文章に、正直さというか、誠実さを感じたからです。

たとえば、同じ事務所の先輩でもある大泉洋さん。星野さんが自分の音楽の父と慕う、細野晴臣さん。そして、出演しているラジオ番組の構成作家である寺坂直毅さん。この方々の名前がタイトルとなっている章がそれぞれあるのですが、どれも読みごたえがありました。

特に、ラジオの仕事で出会い、同い年でもあることから意気投合し、すっかり友だちにもなったという寺坂さんの章は、特に後半、じわっときます。僕、ラジオも好きでよく聞いているんだけど、オールナイトニッポンで星野さんが担当の回は、構成作家が寺坂さんで、声はよく聴いていたのね。トークの雰囲気から、きっと仲良しなんだろうなとは思っていたけれど、こんなエピソードもあったんだ!と思いました。

寺坂さんのキーワードは、紅白、デパート、エレベーターです。なんじゃそりゃ?!と思ったあなた、ぜひ本書でその答えを確かめてみてください。

自分の中の、窓

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image by ChikoBirdyhof / Flickr

最後に、どうしてこの本のタイトルが「いのちの車窓から」なのか、です。

ご存じの方も多いと思いますが、著者の星野さんは、2012年、くも膜下出血のため活動を休止。翌年復帰するも、再度の入院と開頭手術が必要となり、再び活動を休止します。頭蓋骨を直径7センチほど切開した経験から、星野さんはこんなことを感じるようになったと書いています。

この上ない巨大ロボ感。この円形の部分が、ウィーンと音をたてて開くコックピットだと思うと、俺というロボを小さい自分が操縦している気分が増して楽しい。(中略)人生は旅だというが、確かにそんな気もする。自分の体を機関車に喩えるなら、この車窓は存外面白い。(p9,12)

30代にはいってすぐ、武道館ライブも決まっていたのに、病気で活動を休止せざるを得なくなる。2度目の入院の時、次は戻ってこられるか、わからなかったといいます。それでも治療を経て活動を再開。病気療養中の体験を、確実にその後の活動に生かしている著者の姿は、エッセイの随所から感じることができました。

柴犬が好き!人が好き!という星野さんの気持ちがよくわかる1冊。彼の音楽と共に、楽しんでみてくださいね。


いのちの車窓から
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Featured image credit ChikoBirdyhof / Flickr

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