読書犬”ぐり”はこれを読む!『きみと出会えたから』〜犬は、僕らの心をわしづかみにする

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皆さんこんにちは! いかがお過ごしですか? 僕はいよいよ暑さが本番になってきつつあるので、夕方の散歩の時間を遅くしているよ。日中暑くても、夕方6時くらいになると、涼しい風が吹いて、気持ちいいよね。この時間は、他のワンさんたちも散歩タイムで、いろんな友だちにも会えてうれしいんだ~

豪華な執筆陣

きみと出会えたから (PHP文芸文庫)

さて今回は、いろーんな犬との生活や思い出を、いろーんな人が書いている本をご紹介します。『きみと出会えたから』(小川洋子 浅田二郎他著 PHP文庫 2015年)は、もともと2006年に発行された『愛犬幸福論』(PHP研究所)を改題し、加筆・再編集した作品だそうです。

この本、とにかく執筆陣が豪華なの! 小川洋子さんからはじまって、浅田二郎、野坂昭如、小池真理子、猪瀬直樹…(敬称略)。すごいでしょ? いつもは小説などの作品でお会いしているこの作家さんたちが、自分と犬のストーリーをエッセイにまとめているので、ちょっと私生活もわかって面白いのですよ。

仔犬の健康に気が休まらない!?

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image by Kshitij Shah / Flickr

第1章は「きみとの出会いを話そう」との題で、犬との出会いを中心に書いた作品が紹介されています。トップバッターの小川洋子さんは、愛犬ラブラドールとの共同生活を綴っているんだけど、僕の飼い主のNさんが「これ、よくわかるわー」と言っていたのが、次の部分。

私は幼児教育、学校の成績、受験などの類には無関心なのだが、ただ一つ、息子の健康についてだけは異常なこだわりを見せる。(p.11)

確かにNさんも、勉強も大事だけど、それよりも大事なのはきちんと食べて早く寝ること!って言っているもんね。あ、ここで小川さんが言う「息子」は人間の息子さんです。この息子さんが大きくなって、少し母親をうっとうしがるようになったころにやってきたのが、生後50日のラブラドールだったわけ。自然、小川さんの意識はこの小犬の健康に向くのです。

家に来たばかりの頃は血便をし、少し大きくなると自分に与えられた小屋を破壊して食べてしまう子。小川さんは、この子の前脚の関節に何か固い腫瘍のようなものを見つけ、その後はお腹に怪しいぽっちを発見し…と、気が休まることはありません。そのたびに獣医さんにすっ飛んでいくんだけど、そこでの診断結果が(いろんな意味で)すごいので、是非本文にてお確かめください。

落合恵子さんはご自身の誕生日にプレゼントされたバース(ゴールデン・レトリバー)との物語を書いています。夜型だった落合さんの生活が、バースと暮らすようになってすっかり朝型にシフト。散歩ではたくさんの犬友だちもできたとのこと。そこにこんな素敵な一節がありました。

飼い主を愛し、飼い主から愛されている犬を見ると、全く単純に幸せな気分になる。そうして、犬をはじめ、すべてのいのちのあるものが幸福であることを、心から祈りたくなる。(p.34)

落合さんをこんな素晴らしい気持ちにさせたバースはすごいよ。世界中の人にこういう気持ちになってほしいなー。そうすれば人間の中でも虐待とか戦争とか、そういうことって起こらないような気がするんだけれど、どうかな。あ、ちょっと話が大きくなっちゃった?

心温まる、隣人との会話

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image by mika / Flickr

もう一つ、どうしても紹介したいのが、第3章「“やんちゃ”は愛しい」の「瓜ふたつ」です。出久根達郎さんが、飼い犬のビッキ(パピヨン)との物語を書いています。このビッキ、元気で散歩のときにも他の犬にワンワンとあいさつをするんだけれど、あるとき病気になって半年くらい臥せっていたんだって。それが幸い回復してまた元気にワンワンとあいさつをするようになった頃、隣に住むご婦人がそれをとても喜んでくれたと。

出久根さんは、そのご婦人にかけられた「あらあら。元気だったのね」という言葉を、「またうるさくなった」と言われているのかと思って謝ります。でも、ご婦人はこう言うのです。「いいえ。お宅のワンちゃんの声、毎朝楽しみなのよ。ここしばらく聞かなかったものだから、心配していたの」(p.164―165)

そこから始まる会話は、とても意外な内容なのですが、読み手の心をつかんで離さない力を持っています。これは読むしかありません。ほんの6ページの物語ですけれど、とても大きな内容に感じます。

最後にもう一つ。このエッセイ集はそれぞれの作品のおわりに作者のプロフィールが載っているのですが、そこを読むと犬をテーマとした作品を書いている人の数の多さに気づきます。自分の飼っている犬をテーマにした人も多数。だからこの本は、犬本の紹介本にもなっているのです。そこから芋づる式にまた新しい本を手にとるチャンスも含まれているという、なかなか充実した一冊ですよ。


きみと出会えたから (PHP文芸文庫)
小川 洋子 浅田 次郎 村山 由佳
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Featured image credit Tambako The Jaguar / Flickr

読書犬「ぐり」はこれを読む!『犬がいたから』~日常の何気ない風景から | the WOOF

皆さんこんにちは~。秋ですね。よいお天気が続くと、散歩がますます楽しくなっちゃう読書犬・ぐりです。僕、パグだから、夏はちょっと苦手。そして寒い冬もちょっと苦手。だから秋は大好き。 よい気候にウキウキしながら、本を読んでいますが、またまた素敵な作品に出合えたのでご紹介しますね。

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