【犬本紹介】私たちは種を超えた親子です~『奇跡の動物家族』

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皆さんこんにちは! 読書犬パグのぐりです。

この3月から僕はWOOFOO編集部天国出張所にいるんだけれど、ここではいろーんな動物たちに出会えます。ながく井の頭自然文化園で暮らしたゾウのはな子さんは昔話をしてくれるから大好き。こちらでは種を超えて、みんなのんびり仲良く暮らしています。楽しいよ~。

ヒツジにミルクをあげる犬

奇跡の動物家族

さて今月は、地上でも種を超えて仲良く暮らしている動物たちを紹介した本をひらいてみようと思います。

奇跡の動物家族~命をつなぐ~』(ライザ・ガロック著 宮垣明子訳 K&Bパブリッシャーズ 2016年)は、自分とは違う種類の動物の世話をし、育てた動物のことが、かわいらしい写真とともに紹介された本です。

犬、猫、鳥など、いろいろな種類の動物たちが登場しますが、他の種類の動物の世話をしているのはダントツで犬が多いんだよ。なんか嬉しいな~誇らしいな~と思っちゃった、僕。

たとえば、表紙にもなったイギリスの牧場で働くスプリンガー・スパニエルのジェスは、ヒツジの赤ちゃんに哺乳瓶でミルクを与えています。なんてほほえましい光景なんだろう!

もともとは牧場主のルイーズ・ムーアハウスさんが、仔羊用のミルクが入った哺乳瓶をジェスに持ってきてもらっていたのですが、そのうちにジェスが自分で哺乳瓶を使って仔羊にミルクを与えるようになったというのです。

猿にしがみつかれても…

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image by Arl Otod / Flickr

次の「ブルドッグとリス」の写真も秀逸ですが、これは本書で見ていただくことにして、すごい!と思った次の犬は、「ミックス犬とショウガラゴ」で紹介されている、犬のジュディです。イギリスのある動物園で生まれたショウガラゴの赤ちゃん。ショウガラゴは猿の仲間ですが、赤ちゃんはその心身の成長のためには起きている時間のほとんどを親にしがみついて過ごす必要があるといいます。そしておまけに夜行性です。この赤ちゃん、実の母親は子育てをしようとしませんでした。そこでこまった飼育員さんは、動物園で飼われていたミックス犬のジュディにショウガラゴの赤ちゃんをたくしてみることにしたのです。

ジュディ自身も元捨て犬。それもあってショウガラゴの気持ちもわかってくれるのではないか、との期待があったそうです。その結果、ジュディはショウガラゴがしがみついてくるのを振り落とそうともしなかったのです。そして、その他にも飼育員さんのいろいろな工夫によって、日中に暗くした部屋でショウガラゴの世話ができるようにしました。

ずっとジュディにしがみつかせてもらったおかげで、ショウガラゴの手足は力強く成長し、大きなジャンプもできるようになったといいます。

頭にショウガラゴがしがみついているジュディの写真を見ると、驚きます。痛くないのだろうか、重くないのだろうか、って。でもジュディは、当たり前のようにショウガラゴにしがみつかせていたのです。驚きますよね。

南アフリカ共和国の牧場では、さまざまな動物の親代わりになっているラブラドールのリーシャがいます。リーシャは、親を亡くして牧場に保護されてくる動物たちは、どんな種類であろうと自分が親代わりを引き受けるそう。

今まで世話をした動物はトラ、コビトカバ、ヤマアラシ、ネコなどなど。どんな動物のお母さんにもなるというのです。でも驚くべきことに、リーシャは自分の子どもは産んだことがなくて、子育ての経験もなかったといいます。それでも運び込まれる動物は自分が面倒をみると思っていて、箱に入れられた動物が来ると自分から近寄っていくそうです。うーん。すごい。

優しく寄り添う

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image by Nathapon Vaiyavuthipinyo / Flickr

他にも、いろいろな種類の動物、たとえば、シカ、キツネ、ピューマ、リャマ、ライオン、ミミズクなどを犬が育てたことが紹介されています。どの写真も温かい雰囲気が満ち溢れていて、たとえば自分よりも大きなリャマの子どもに耳をくわえられている犬の写真なんて、本当に印象的です。

この本の中には、野生であれば敵同士、出会ったとたんに傷つけられるのではないか、と思うような動物の組み合わせも出てきます。なぜそんな種類同士の育児関係が可能なのでしょう?著者はこう書いています。

野生なら死に至るほどの傷を負わせる相手を優しく育てる肉食動物たちは、肉食としての本能よりも、父として母としての本能に体の内側から突き動かされ、一個の親として子どもを育てているのです。

動物は、本当に親を必要としている子どもを大切に育てます。

わたしたち人間も、そこから親のありかたを学ぶべきだと思えてなりません。(p17)

種を超えて、親を必要としている赤ん坊に寄り添う動物たち。その優しいまなざしに、何か多くのメッセージが含まれているような気がしたのも、気のせいではないのかもしれません。

ページをめくっていくと、どんどんあったかい気持ちになれる一冊。分かりやすい文章と、可愛らしい写真を、ぜひ皆さんもご堪能くださいね。


奇跡の動物家族
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Featured image credit Taylor Bennett / Flickr

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