皆さんこんにちは。散歩から帰ってきて、2粒もらうボーロがしみじみおいしい、読書犬ぐりです。
お元気ですか? すっかり春になりましたね。飼い主のNさんは毎朝5時40分に起きているんだけど、冬の間は真っ暗だった窓の外が、だんだん明るくなってきているって、嬉しそうです。日も長くなってきているんだね。新しい季節が巡ってくるのが感じられて、なんだか嬉しいな。
さて、そんな毎日ですが、本も読んでいますよ。いろいろ出会いがあるのですが、今日はその中から、『もか吉、ボランティア犬になる。』(江川紹子著 集英社インターナショナル 2015年)をご紹介します。地域でつながりたい!と思っている方が多い昨今、犬がその助けになることを教えてくれる一冊です。
病弱でびびりな雑種犬
それでもまだまだ内気なもか吉を案じて、江梨子さんは他の犬との触れ合いがもか吉に元気をくれるのではと考え、犬の幼稚園へ通わせます。すると、そこでもか吉はまっちゃんという先輩犬に出会い、大好きになるのです。そうやって、人とも犬ともだんだんにつながりをつくっていくもか吉。そしてついには、老人ホームへ出向いて、お年寄りたちと触れ合うボランティア犬にもなるのです。
いつもは寡黙なお年寄りが、もか吉を見てめずらしく言葉を発したり、攻撃的な行動の多い方が、穏やかな微笑みを見せたりと、犬と触れ合うことで人の心がほどけていく様子が印象的です。
命を考える「わうくらす」
ここでも、最初は犬が怖くてどうしても近寄れなかった子が、やさしくおだやかなもか吉に徐々に慣れていき、なでることができるようになったりと、素敵な場面が描写されています。ただ、この授業は犬と仲良くなることが目的ではないと、江梨子さんは自身のブログに綴っています。
犬という動物を知ってもらい、動物の気持ちを考えて行動する。そこから、人同士も動物に対しても思いやりをもつ。好きじゃなくても、動物にも感情があってそれをちゃんと表現してるんだよ。
それを知ってもらえば、きっと自然に命の大切さを感じてくれるはず……私はいつもそう思って子どもたちに話すようにしています。(p.57)
命の大切さは、言葉でもある程度は伝えられるのかもしれないけれど、目の前に人間とは別の命の存在があると、より実感しやすいのかも、と思います。それは、もか吉と触れ合う子どもたちの変化からもわかります。著者の江川さんは、ほかにもたくさんの教育現場を取材しているから、「わうくらす」を見てその素晴らしさを伝えたいと思ったんじゃないかな。文章にそれがよく現れている気がします。
もか吉の、最高の笑顔
今、日本では地域のつながりの希薄さがよく問題になっていますが、犬という命を通じての打開策がこの本ではあますことなく語られています。人間の子どもの数よりも、犬や猫といったペットの数のほうが多くなっているというのはよく言われる現状ですが、だとしたらますます、ペットたちをきっかけに地域の人たちがつながるチャンスはあるのかも、と思います。そうした意味でも、この本をたくさんの人に読んでみてもらいたいなーと思いました。
あとね、犬って笑うって知ってます? 飼われている方はよくご存じだと思うんだけど、笑うんです。この本には、もか吉の満面の笑みの写真がたくさん出てきます。「ぼく、しあわせ」っていう気持ちが表情にすごくよく表れているんだ。ぜひぜひ、見てみてくださいね!
集英社インターナショナル
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【お知らせ】もか吉の活躍の様子は、Webサイト、Facebook、Twitter、YouTube に、たくさんアップされています。ぜひ、チェックしてね!
※ 画像は全てもか吉のおかあさん、吉増江梨子様にご提供いただきました
読書犬「ぐり」はこれを読む!『医者が泣くということ』〜小児科医・細谷先生とナディア | the WOOF
by 菅原然子 皆さんこんにちは。読書犬・ぐりです。 今日は忙しい人にも読みやすい、日記形式でつづられたエッセイ『医者が泣くということ』(細谷亮太著 角川書店 2007年)を紹介しますね。