【犬本紹介】『いのちのギフト 犬たちと私から送る勇気のエール』〜犬に教えられたこと

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皆さんこんにちは! 東京在住の読書犬、パグのぐりです。

この前テレビを見ていたら、桜の開花予想日が発表されていました。今年は平年並みみたい。待ち遠しいな~。桜、大好き。以前、Nさん家族と一緒に、東京は国立にお花見に行ったことがあるんだけど、素晴らしかった。うすいピンクの花が一斉に咲いて、もうおとぎ話の世界みたいにきれいだったよ。皆さんもお気に入りの桜の木、ありますか? 

さまざまな犬の生き方から

いのちのギフト: 犬たちと私から送る勇気のエール

さて、今日ご紹介するのは、御年105歳の現役のお医者さん、日野原重明さんが書かれた『いのちのギフト 犬たちと私から送る勇気のエール』(小学館 2013年)です。日野原さんは有名な方だから、皆さんよくご存じだと思いますが、『いのちのおはなし』をはじめ、子どもにもわかりやすい言葉で物語を書かれる方です。

この本は、さまざまな犬のエピソードを通じて、人はどうやって生きていくことが幸福なのか、を日野原さんの言葉で紹介しています。小学生にも理解できるような、わかりやすい言葉が使われています。

でも内容は、子ども向きというより、子どもから大人、すべての年代の人に向けてのものだと思いました。

お医者さんの視点も生かして

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image by Ralf Κλενγελ / Flickr

たとえば、「犬ぞりリーダー犬バルトの勇気」(p16)では、悪天候の中、ジフテリアという病気を防ぐための血清を運んだ犬ぞりのリーダー、バルトの活躍を伝えています。

1925年、アラスカ西部のノームという町で、子どもたちの間にジフテリアが流行。予防のために早く血清を取り寄せ、注射しないと、さらに多くの子どもたちが感染し、犠牲になってしまう可能性がありました。

しかし、大きな低気圧に覆われたアラスカは、風速40mの吹雪。陸路はおろか、海水も凍って、海路もふさがれてしまいます。頼れるのは犬ぞりしかない、となり、100頭以上の犬が交代で、ネナナ市からノームまで、1014キロの道のりを走ったのです。

バルトは、中でも過酷な2区間を走った犬ぞりのリーダー犬でした。1区間ごとに、他の犬に交代する予定だったのに、次のチームの準備がうまくいかず、結局2区間を走り切ったのです。そして、バルトの働きを始め、多くの犬たちのおかげで、無事に村へ血清が届けられました。

他にも、まだセラピー犬などへの理解がそれほど浸透していなかった頃、病院で末期のガンと戦っていた50代の女性が、どうしても飼い犬に会いたいと言い、家族がそれをかなえた話、小児病棟を訪れるセラピードッグと子どもたちの物語など、お医者さんである筆者の視点から書かれた数々の犬のエピソードは、知らないうちに読者をぐっと惹き込みます。

1世紀以上生きている人の言葉

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image by Kathryn McElroy / Flickr

さて、この本は、各物語のタイトルの次に、その章で日野原さんが伝えたいことが書かれています。

たとえば先ほどの犬ぞりの物語には、

正しいと思うことをやり抜く強さをもちましょう(p16)

保護犬を助ける活動をする人たちを紹介した章には

時間をだれかのために使うと、新しい出会いが生まれます(p34)

セラピードッグの章には

絆を信じること、それが自分を信じる力となります(p64)

といった感じです。

実は僕、道徳的な本や文章ってこれまで読んだことがなかったのですが、この本の言葉は素直に受け入れられた。どうしてかなーと考えてみたんだけれど、やっぱり1世紀以上生きてきた人の言葉って、すごく力があるなと思うんだよね。だから、スッと自分の中に浸透していくのかなって思った。

日野原さんは、人間が動物たちを「飼う」のではなく、人間は動物たちからどんな愛情を受けているかを考えたい、そうすることで幸せな共生を考えたい、と書いています。そのための家族の形について、

動物との出会いは運命的なものですが、そこには必ず意味があります。家族とは寄せ集めのメンバーではなく、育み成長していくものだからです。互いの違いを尊重しつつ、共通の思いを探るべきです。動物も人も同じこと。家族としてのコミュニケーションを回復することなくして、世の中に温もりは生まれません。(p92)

と書いています。

なるほどなあと思った。Nさんは「これって親と子どもにも言えるね」とつぶやいていたよ。人だって動物だって、みんな違うんだから、お互いに努力してコミュニケーションをしていかないと、幸せは生まれないんだね。当たり前なんだけれど、ついつい自分の考えを押し付けちゃったりしがちだから、反省。

あ、なんだかかたーい話になってきちゃったけれど、「ちょっと道徳的な本は…」と今まであまり手に取ってこなかった人たちにもぜひ読んでみてもらいたいなと思います。

この本、装丁がかわいくて。けっこうポップな色で僕は好きです。そんなところも併せてお楽しみください!


いのちのギフト: 犬たちと私から送る勇気のエール
日野原 重明
小学館
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Featured image credit Bruce Fingerhood / Flickr

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