にんにく〜NGフード。少量でも犬の健康に悪影響を及ぼす可能性あり

食・フード
この記事をシェアする

にんにくは、犬には有毒な食べ物です。食べた量、品種、個体の状態などにより影響は異なりますが、口にすると軽度から中程度の中毒症状がみられる可能性があります。

にんにくは食べさせない方が良い


image by fireskystudios.com / Flickr

にんにくは、貧血、胃腸炎(例えば、吐き気、経口刺激、うっ血、腹痛、嘔吐、下痢)などの中毒症状を引き起こします。

貧血の原因と考えられるのは、にんにくに含まれるチオ硫酸塩です。チオ硫酸塩は犬の赤血球に酸化的損傷を引き起こし、溶血性貧血をもたらすします[1]。チオ硫酸塩はヒトには有毒ではありません。貧血の症状には、息切れ、嗜眠、衰弱、黄疸、尿に血が混ざるなどがあります。

Pet Poison Helplineによれば、にんにくには玉ねぎの5倍の毒性があるのだそう。日本原産の品種の犬は、より敏感に反応するという記述もあります

大量に与えなければ大丈夫なのか?


image by Clara S. / Flickr

にんにくを大量に摂取したら犬が中毒を起こすというのに反論を唱える人はいないと思います。それなら少量ならどうかといえば、犬によっても異なりますが特に目に見える反応はないため、問題はないという意見もあります。

「にんにくは犬には危険」が広まったきっかけは、2000年に発表された研究[2]です。本研究には、「にんにくの成分は、赤血球膜およびヘモグロビンを酸化して、イヌの偏心細胞の出現に伴う溶血を誘発する可能性がある」ことが示されおり、にんにくを含む食品は犬に給餌すべきではないと結論づけています。しかし、研究で対象となったのはわずか4匹の犬であり、与えられたにんにくの量も非常に多かったことから、「たった4匹の反応を一般化するのはどうなの?」とか「そんなにたくさん食べれば害があるに決まってる」などの批判的意見も出てきているのです。

研究では、4匹の犬は7日間連続して体重1kgあたり1.25mlのにんにくエキス(garlic extract)が与えられました(対照群は水が与えられた)。1.25mlのにんにくエキスについて、Petguideは「40ポンド(約18kg)の犬に対して20片」と説明しています。それだと確かに多い…というか、食べさせ過ぎというか普通は食べない量ではあります。少量なら大丈夫という可能性を残します。

しかし、別の点は注目に値します。論文の記述、「にんにくを与えられた犬は、9日〜11日目に赤血球数、HCT(ヘマトクリット値)、ヘモグロビン濃度が低下し、その他の血液関連数値に異常がみられたものの、溶血性貧血の発症はなかった」という点です。溶血性貧血にならなかった犬でも、10日前後にわたって血液への影響があったということが窺えます。

少量でもリスクあり

それではどの程度の量なら、血液への影響もない(あるいは少ない)のでしょうか?

AKCのWebには、「研究によれば、犬の血液に悪影響を及ぼすにんにくの量は、犬の体重1kgあたり約15〜30g」とあります。これに基づけば、「(にんにくの1片を5gとして)5kgの犬なら15片〜30片なら大丈夫」と解釈することもできますが、やはり少量でも犬に与えるのはリスクが高すぎます。犬の中にはにんにくの毒性に敏感な個体がありますし、上述のとおり毒性は数日にわたって影響するため、少量でも継続摂取は身体に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

AKCも「あなたの犬がにんにくをちょっとだけ誤って食べても、おそらくは大丈夫でしょう。しかし、犬に意図的ににんにくを与えるのは、動物病院への扉を開けているようなものです」としてます。

にんにくを食べてはダメな犬


image by Igor Normann / Flickr

にんにくは、各種の薬理作用が報告されています。強壮作用、ガン防止、殺菌力などが示唆されていますが、これらは全て、まだはっきりとはわかっていない作用です。

犬については「ノミ・ダニ予防になる」「虫除けになる」「ガンの予防になる」という言説もありますが、これを支持する一貫したデータはありません。ですので、にんにくに対する結論は、「積極的に与える必要はない」です。

妊娠している犬、1歳に満たない子犬、日本原産の犬(特に秋田犬と柴犬)、投薬中の犬、手術を控えた犬については、にんにくは絶対NGフードです。秋田と柴はより敏感な犬であることがわかっています。少量を誤って食べてしまった時で、目に見える影響がないとしても、すぐに獣医師に相談しなければなりません[3]

フードやサプリメントはOKか?

ドッグフードににんにくが含まれている場合について、獣医緊急専門医のリー博士は「ラベルをみて、成分の10番目までににんにくが現れるなら、ちょっと心配だ」とコメントしています。

サプリメントについてAKCは、「ペット用健康補助食品としてのにんにくは、研究において一貫した肯定的な結果をもたらさなかった」としています。

良いサプリメントは存在するかもしれません。しかし、それも愛犬の体質や体調次第で変わってくるものです。与える前には必ず獣医師に確認をしましょう。

犬がにんにくを食べてしまった時は?

食べた量を確認し、症状がなくても念のため獣医師の診察を受けましょう。嘔吐や貧血などのわかりやすい症状がなくても、身体の中での変化の可能性は否定できません。

治療は個体の病歴や症状を組み合わせて決定されます。食べたものを吐き出させただけでは全く安心はできません。犬の苦しみを取り除くためにも、早めに病院に連れて行きましょう。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Can Dogs Eat Garlic? – American Kennel Club
[2] Lee, K. W., Yamato, O., Tajima, M., Kuraoka, M., Omae, S., & Maede, Y. (2000). Hematologic changes associated with the appearance of eccentrocytes after intragastric administration of garlic extract to dogs. American journal of veterinary research, 61(11), 1446-1450.
[3] Garlic For Dogs: Poison Or Medicine? – Dogs Naturally Magazine

ブドウ〜1粒でも中毒症状を引き起こす可能性がある犬の完全NGフード | the WOOF イヌメディア

甘くて美味しいブドウは、可愛くて食べやすい素敵なデザート。しかし、犬にとっては毒性が高い危険な食べ物。絶対に食べさせてはならないNGフードです。

the WOOF イヌメディア > すべての記事 > イヌを育てる > 食・フード > にんにく〜NGフード。少量でも犬の健康に悪影響を及ぼす可能性あり

暮らしに役立つイヌ情報が満載の「theWOOFニュースレター」を今すぐ無料購読しよう!

もっと見る
ページトップへ