言葉じゃなくて体で話して!〜犬はジェスチャーによるコマンドにより良く従う(研究)
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「うちのコ、もうちょっと言うことを聞いてくれればいいのになぁ」そう思うのなら、ちょっとご自身のコマンドの出し方を振り返ってみてください。言葉だけで伝えようとしてはいませんか? もぞもぞと分かりづらい動きをしているということは?
伝え方をちょっと変えるだけで、犬の成績を大きくあげることができるのかもしれません。
イタリアの研究者が、犬は音声を使ったコマンドよりも、ハンドサインを上手く読み取ることができるという研究結果を発表しました。
プロのお仕事ワンコが実験に協力
研究を行ったのはフェデリコ2世ナポリ大学(Universita’ degli Studi di Napoli Federico II)の生物学者、Biagio D’Aniello氏の率いるチーム。25匹の犬とその飼い主が研究に協力しました(10匹のゴールデン・レトリバーと15匹のラブラドール・レトリバー)。
今回の実験の特徴は、実験協力犬がコマンドに従う’プロ’であったこと。犬たちは救助犬養成学校(Scuola Italiana Cani Salvataggio)で訓練を受けた犬で、すでに警察や沿岸警備隊と共に働いているワンコたちなのです。
すでに訓練を積んだ犬、すなわちコマンドに完璧に従える犬は、音声とジェスチャーのどちらをより良く理解するのか?これがこの研究で明らかにしようとした問いだったのです。
犬はジェスチャーによるコマンドにより良く従う
実験の中で飼い主は、研究用の部屋の中で犬と向き合い、お座り(sit)、待て(stay)、伏せ(lie down)、来い(come)の4つのコマンドを出すように指示されます。
第一の実験では、ジェスチャーのみと音声のみで同じ意味のコマンドを出した場合、どちらに上手く従えるかが確認されました。。結果、ジェスチャーのみのコマンド方に上手く従えることが分かりました。とりわけメス犬はジェスチャーによるコマンドにより良く従えたそうです(オス犬の方が音声コマンドをより上手く理解できた)。
第二の実験では、意味の異なるコマンドを使い、ジェスチャーと言葉(音声)のどちらに上手く従えるかが確認されました。例えばジェスチャーでは「座れ」コマンド、音声では「伏せ」コマンドを発した場合の比較します。この場合、多くはジェスチャーに従ったそうです。前述の例をとると、犬はジェスチャーで指示されたように「座れ」コマンドに従いました。
唯一の例外は、飼い主が言葉で「来い」と言い、ジェスチャーで「待て」と命じた場合です。Discoverはこの行動の理由を、「混乱している飼い主を案じて、近くにいようとするのではないか」としています。
知らない人が言うことは良く理解できない
研究者たちは追試において、同じ実験を飼い主だけでなく犬にとっての「知らない人」と犬との組み合わせでも行っています(未発表)。見知らぬ人からのコマンドでも、犬はジェスチャーにより良く従えたそうです。一方で、見知らぬ人からの音声コマンドはより理解が困難だったことも、この追試でわかりました。体を使った’会話’の方が犬にとって理解しやすいということが、重ねて示唆された形です。
犬の飼い主なら、非常に納得のいく結果となった今回の実験。ドッグトレイナーでもある筆頭著者のD’Aniello氏はこの結果について「経験上、犬たちはジェスチャーによるコミュニケーションの方が得意ですから」と納得のコメントを寄せています。
「いいコ!」「可愛い」「オヤツ」など、非常に良く理解している言葉もあるけれど、大抵の場合コマンドは、覚えるのが不得意(あるいは覚えたくない)言葉のように思います。しっかりと意図を伝えたい、言うことを聞いて欲しいと思うなら、彼らの理解を助けるようなしっかりキッパリなジェスチャーで伝える努力も必要です。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] D’Aniello, B., Scandurra, A., Alterisio, A., Valsecchi, P., & Prato-Previde, E. (2016). The importance of gestural communication: a study of human–dog communication using incongruent information. Animal Cognition, 19(6), 1231-1235.
[2] Dogs Do as You Do, Not as You Say – Inkfish
Featured image credit ikuman / Flickr
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