缶フードの摂取で犬の血中BPA値が3倍に上昇(米研究)

サイエンス・リサーチ
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米研究者が、缶フードは犬の体内のBPA値を上昇させ、健康を損なう恐れがあると発表しました[1]

研究を行ったのは、ミズーリ大学コロンビア校獣医学部(University of Missouri Collage of Veterinary Medicine)のシェリル・ローゼンフェルド博士。論文は、”Science of The Total Environment”に発表されました。

調査の対象となったのは健康な14匹の犬。普段は袋入りのドッグフードを食べている犬たちに、一定期間缶フードを与え、BPA値を測定するというものです。

Graphical Abstract

© Curators of the University of Missouri

BPAとは、一部の食品用の容器等の原料に使用される化学物質ビスフェノールA (bisphenol A, BPA)のこと。内分泌系※への影響が懸念される物質として注目されており、日本では健康被害を防止するために食品衛生法によって規制されています。動物実験では、規制値より低い用量であっても子供の発達に影響があったという結果もあり、私たちの健康にどのような影響があるのかを測るためには、今後の調査研究の進展が必要であるようです[3]

ローゼン博士の行った実験では、犬たちに缶フードを2週間与えた結果、血中BPA濃度がほぼ3倍にまで上昇したそうです。また、この血中BPA濃度の上昇が、微生物叢(マイクロバイオーム)や代謝変化に関係しているということもわかったと言います。BPAの上昇は、BAPやこれに関連する環境化学物質の代謝を促す細菌を減少させる可能性があるということです。

ローゼン博士は、「私たちは生活環境を犬と共有しています。この結果は、人間への影響をも示唆するものになり得ます」と語っています。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Cheryl Rosenfeld | News Bureau, University of Missouri
[2] Koestel, Z. L., Backus, R. C., Tsuruta, K., Spollen, W. G., Johnson, S. A., Javurek, A. B., … & Bivens, N. J. (2016). Bisphenol A (BPA) in the serum of pet dogs following short-term consumption of canned dog food and potential health consequences of exposure to BPA. Science of The Total Environment.
[3] ビスフェノールAについてのQ&A|厚生労働省

Featured image credit Blythe D. / Flickr

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