猫が嫌いな犬は音に注意を向ける〜犬は猫のどこを気にしているのか？（研究）
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「猫嫌いの犬」といっても、猫が苦手で避け続ける程度の犬もいれば、追いかけて殺傷してしまう犬もいます。
犬種によっては、逃げる小動物（猫、リス、ウサギ、ネズミ）などを追いかけて狩りをするのは、極めて普通の行動です。「猫パンチをされて、カッとなって殺した」という問題ではなく、祖先から引き継がれた性質であって抑えることが難しい行動であることも少なくありません。
その場合、犬たちのスイッチをオンにする刺激は何なのでしょうか？猫を傷つけてしまう犬は、猫のどこを見て、何を気にしているのでしょう？犬種以外に、猫との相性を事前に確かめる術は存在するのでしょうか。このヒントになりそうな研究の成果が、Animal Behaviour誌に発表されました。
研究を行ったのは、ホフマン博士（カニシアスカレッジ）率いる研究チーム。実験により、猫が発する刺激に犬がどう反応するかを確認しました。
実験に協力したのは様々な品種の69匹の犬。うち、54匹は猫と暮らした経験を持っていました。実験のために、犬の視覚、聴覚、嗅覚を刺激するセッティングが準備され、各犬の刺激に対する反応が確認されました。
視覚刺激は、動くペルシャ猫の人形と目玉が貼り付けられた枕（電動ボール入り）。どちらも動きますが、一方は猫の形をしていて、一方は猫の形をしていない刺激です。69匹の半数は、猫の尿のついた状態でテストされ、残りの半数は尿の匂いのない状態でテストされました（嗅覚刺激0。聴覚刺激は、猫の鳴き声とコインの落ちる音でした。
整理すると、与えられる刺激及びコントロールの組み合わせは、（1）静止した猫型人形 vs. 静止した枕、（2）動く猫型人形 vs. 動く枕、（3）猫の鳴き声 vs. コインの落ちる音、（4）猫の匂いある状況 vs. 猫の匂いなし状況です。これらの刺激に対する犬の反応は録画され、各犬が刺激に焦点を合わせた時間、匂い嗅ぎ行動をした時間などが記録され、コントロールとの対比等の分析がなされました。
結果、いくつかのことがわかりました。まず、犬は猫のカタチをしっかりと認識しているということです、静止時も動作時も同じ程度の注意（注視）を向けましたが、枕については動作時しか注意を向けませんでした。また、枕に尿の匂いをつけた時は注意深く枕の匂いを嗅いでいましたが、猫型人形に匂いをつけた時はつけていない時と同様の関心しか示さなかったのです。つまり、動いても動かなくても、匂いがしてもしなくても「これは猫だから」と考えているということです。
そして、猫の鳴き声に最も長い時間反応することもわかりました。匂いや動作に対して向ける注意よりも、音に対して向ける注意の方が長い時間持続したのだそうです。研究者たちは、「犬が視覚的または嗅覚的な猫関連刺激よりも聴覚的刺激に反応しやすい」と結論づけています。
さらに興味深いのは、猫や他の小動物を殺傷したことのある犬は、そうした経験のない犬に比べて、猫の音に長い時間注意を向けるという点です。この結果を受けて論文では、「この研究結果は、シェルターなどにいる犬の猫との相性を予測するために、猫の鳴き声を利用することについての可能性を示唆している」とコメントしています。
こうした結果や指標は絶対のものではありませんが、不幸な事故を未然に防ぐための一つの判断基準になりうるのではないかと思います。犬たちの性質を理解して家族に迎えられるなら、その方が良い結果に繋がりそうですよね。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Dogs’ responses to visual, auditory, and olfactory cat-related cues Hoffman, Christy L. et al. Applied Animal Behaviour Science , Volume 188 , 50 – 58
[2] Companion Animal Psychology: Finding Out if Dogs Like Cats – Or Not
Featured image credit nebojsa mladjenovic / Flickr
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