皆さーんこんにちは!読書&DVD鑑賞犬・パグのぐりです。
今年の地上の冬は、厳冬って聞きました。雪国の皆さんは特に大変なことと思います。どうぞお体に気を付けて、お過ごしくださいね。
山田洋二監督の喜劇、再び
さて、しばらくDVDを取り上げていなかったのですが、今月は面白い作品を見たので、ご紹介しますね。『家族はつらいよ』(山田洋二監督・脚本 松竹 2016年)は、その名の通り、ある家族の物語です。山田洋二監督、寅さんシリーズから実に20年ぶりの喜劇映画とのこと。
仕事を退職して、今はゴルフ、酒、たばこという、毎日を送っている平田周造(橋爪功)。この周造と結婚50年目を迎えた妻の富子は、誕生日のプレゼントに、あるものが欲しいと話します。それは離婚届。穏やかに、周造にそれを伝える富子役の吉行和子さんの演技が、コワイ(笑)。
ちなみに、この夫妻には子どもが3人います。長男夫妻(西村雅彦・夏川結衣)とその息子2人、そして未婚の次男(妻夫木聡)が同居しています。つまり、3世代同居の7人家族。長男と次男の間に長女(中嶋朋子)がいるのですが、彼女は会計士でバリバリ仕事をしており、それを支えているのが夫の泰蔵(林家正蔵)です。ちなみに次男のフィアンセは蒼井優さんが演じています。
さて皆さん、ここまでこの記事を読んで思われませんでしたか。なんという豪華キャストなんだ!と。僕はそう思ったよ。名優揃い。主役級の俳優さんが次から次へと出てきて、いったいどうなっちゃうんだろう、って(笑)。
どうなっちゃうのかは皆さん、ご自分の目でお確かめください!
トトは家族の緩衝材
この映画、実は一番最初にスクリーンに登場するのが、平田家で飼われている犬なんです。トトという名前のジャックラッセルテリア(長毛)。うー、なんとうい可愛さ! もう僕、その姿にくぎ付けでした。
周造はこのトトの散歩を受け持っているのか、物語の中では時々散歩に連れられて行く姿が見られます。トトはなかなかの名優。どのシーンも動きが自然で、無駄がないというか。すごいなあと思ったよ。
家族の誰にも寄り添って、話を聞いて、撫でられて。きっとトトは、大家族である平田家のそれぞれのメンバー間をうまく結ぶ、緩衝材的な役割を担っているんだろうなと思いました。
さて、誕生日プレゼントに離婚届がほしいの、と妻から言われた周造ですが、最初は「なに冗談言っているんだ」という感じで、本気にしません。ですが、物語が進むにつれて、妻が本気であることを知り…。それにしても橋爪功さんの演技には驚きます。なにがって、昭和オヤジ(失礼!)の特徴を見事にとらえ、「そうそう、いるいる、こういうおじさん!」と見ている人に必ず思わせるからです。こまかーい部分が特にそうなの。
特に印象的なのが、外出先から帰宅して、自室のベッドに座って靴下やズボンを脱ぐシーンです。富子と話しながらどんどん脱いでいくんだけれども、脱ぐだけ。それを集めるのは妻・富子です。実は物語後半で、このシーンが重要な意味を持っていることが分かるんだけど、それは本編を見てのお楽しみということで。熟年離婚っていうけど、たしかに、こんなんじゃあ、女性は離婚したくなるよね、と納得がいってしまうのです。この脚本を男性である山田洋二さんが書かれていることにも驚きました。女性の気持ちのリアルな描写に感服です。
スタッフも豪華
タイトルの『家族はつらいよ』。山田洋二監督とくれば、『男はつらいよ』は超有名ですが、この寅さんシリーズのタイトルに真似ているのは明らかですね。寅さんシリーズの音楽は、故山本直純さんが担当されていて、あの冒頭のフレーズは誰の頭にも残っていると思います。この「家族はつらいよ」の音楽も、見事に映像とマッチしていて、いったい誰が担当したのかなと、エンドロールを見ていたら、あのジブリ作品で有名な久石譲さんでした。俳優陣も豪華ですが、こうした制作陣もかなり豪華なんですね。
今年の5月には続編『家族はつらいよ2』も上映されたとのこと。見てみたいと思います。
ホームドラマで、安心して見られます。なにか大掛かりなしかけや推理があるわけではありませんが、人間の気持ちをよく表していると思います。
あ、ちなみに、名優といえば、途中周造が入院した病院の医師役で出てくる人の演技も、名演です。ほんの少しの時間しか登場していないのに、強烈なインパクトを与えるってすごいですよね。まさにそういう人です。誰が演じているのかは、見てのお楽しみ(笑)。
Featured image credit Sally Wehner / Flickr