こんにちは~! 皆さんお元気にお過ごしでしょうか? 2月も中盤、寒いながらも、来月くらいには徐々に訪れるであろう、春が待ち遠しいですね。
僕、春大好きなの。秋も気候はいいけれど、その後冬に向かうでしょう? でも春はこれから楽しい夏に向かう季節。何か明るい感じがして好きなんです。皆さんはどの季節が好きですか? ちなみに地上の飼い主Nさんは、「私は冬かな。夏の暑さはきついけれど、冬は寒ければどんどん着ればいいし」だって。冬のきりっとした寒さが好きらしいよ。人それぞれですねえ。
「たそがれる」って?
さて、今日ご紹介するDVD作品。季節は春先から始まる感じでしょうか。『めがね』(荻上直子監督 2007年)は、南のある島を舞台とした不思議な物語です。
主人公の小林聡美さん演ずるタエコは、この島の旅館「ハマダ」を訪れます。食堂が外と続いた屋根の下にある、開放的でどこかのんびりとした雰囲気です。ハマダのオーナーはユージ。おじさんですが、料理がすごくうまい。タエコが来たその日も、お重にそれはそれは美しくおいしそうなお弁当を詰めていました。
さて、タエコは何か目的があってこの島に来たわけではなさそうです。だから、よくある旅人のように「じゃあ今日は観光でもするか」と思い立つわけですが、観光するような場所もないことがわかります。じゃあ何をするか? 島の人たちは「たそがれる」ことを勧めます。でもタエコにはよくわからない。たそがれるって、どうすればいいの?って。
のんびり暮らす犬
島なので、美しい海があります。その海辺に1軒の不思議な建物があって、冬の間はしまっているのですが、この島にサクラさんというおばさんが訪れるとその窓が開けられます。もたいまさこさん演じるサクラは、この不思議な雰囲気漂う映画の中でもピカイチの不思議さをまとっています。海辺の小屋で、来る人たちにかき氷をふるまっているのです。そのほかはハマダでユージと一緒に働いています。他にもなんとも説明しにくい雰囲気の登場人物が映画を盛り立てていきます。
さて、犬は、ハマダでユージと暮らしているコージです。たぶん雑種だと思うんだけど、日本犬の血は入っていそうな風貌です。このコージ、実に自由気ままに暮らしています。つながれているわけではなく、気が付くと庭をトコトコと歩いている。うらやましい!こんな暮らししてみたい!って思った。きっと南の島だから気候もいいし、のんびりしているし、楽しいんだろうなあって。
コージは物語の中で何か大きな役割を担っているわけではありませんが、そこにコージがいてくれるだけで、何かちょっとほっとする感じがします。それは、登場人物がみんな、なんだか不思議な人たちだからなのかな。タエコもその不思議な人たちに最初は翻弄され気味なんだけど、徐々に「そんなもんか」と受け入れていく。そうするとタエコ自身の何かが変わっていく様子が見られます。それが、この、ある意味淡々とした映画の中で唯一動いていく部分のような気がしました。
料理にも釘付け
監督の荻上直子さんは、この作品の前にフィンランドを舞台とした『かもめ食堂』という映画を撮っています。主演は同じく小林聡美さんで、もたいまさこさんも登場します。Nさんはかもめ食堂が好きすぎて、DVDを買って何度も観ていたんだけど、めがねは最近初めて見たって。でもやっぱりいいわ~って言ってた。かもめ食堂には犬は出てこなかったけど「めがね」にはコージが登場してくれているし、あとはやっぱりお料理。お料理がこの映画のもう一つの主役と言っても過言ではないのです。
美しいお重に詰められたお弁当から、豪快な伊勢海老、なんでもないハマダの朝食の目玉焼き。そして、サクラがつくるかき氷。「かもめ食堂」もそうだったけれど、「めがね」もこの映画を観ていると料理がしたくなるよ。それも、いつもより丁寧に。ちなみにフードコーディネーターは、「かもめ食堂」に続き、飯島奈美さんです。
コージも脇役ですが、もう一人、映画の中で登場時間はとても短いのに、ものすごいインパクトを与えてくれる人がいました。タエコが退屈に耐えかねてハマダを出て、島にもう一軒ある旅館に行ったときのこと。そこのオーナーの女性が強烈なキャラクターなのです。誰もが知っている女優さんが演じているんですが、びっくりしたなあ。ほら、この前紹介した「家族はつらいよ」で、ちょっとの時間しか出てこないのに強烈な印象を残したお医者さん役のおじさんがいたでしょう。それと同じ。誰かは見てのお楽しみ!
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