犬たちは、いつも私たちを笑顔にしてくれる素敵な存在ですよね。彼らの仕草や行動には、かわいらしい”おかしみ”があります。
ところでそんな彼らを見て、疑問に思ったことはありませんか?「実は私のことをからかってる?」「面白いことをしているつもりかな?」「ユーモアで笑わせようとしているのかも!?」
さて、我らがワンコたちは、ユーモアを理解し、そのセンスを使って私たちを笑わせてくれるのでしょうか。
犬もユーモアを理解するのかもしれない
残念なことに、犬が人間と同じようにユーモアを理解するかどうかを証明する研究はありません。
しかし、犬の行動を観察してみると、飼い主が遊びにちょっとした冗談を加えると、それに反応して、ときには”笑う”ことすらあることがわかります。たとえばボールを投げるふりをしてフェイントをかけたときや、トリックのときにいつもと違う動きを加えたときに、尻尾をブンブン振り回したり、気合の「ワン!」が出てしまうことはありませんか?
もちろん、ただ興奮が高まっただけかもしれませんが、あなたが加えたユーモアに反応しているかもしれませんよね。
進化論で有名なチャールズ・ダーウィンは、著書の”The Descent of Man”の中にこう書き記しています。
犬は、いわゆるユーモアのセンスに近いものを示します。これは単なる遊びとは異なります。たとえば、棒やその他のモノを投げたとき、犬はそれをちょっとだけ運んでから地面に置いて、しゃがみこんでしまうことがあります。飼い主が近づくと、再びモノを咥えて得意げにその場を離れ、これをなんども繰り返します。どうやら、いたずらを楽しんでいるようです
”ユーモアのセンス”がある犬種
さて、犬がユーモアを理解するのならば、犬種によって違いはあるのでしょうか?心理学者のStanley Corenは、ユーモア感覚を遊び心ととらえ、これをランクづけした1980年代の書籍の内容を紹介しています[1]。
遊び心をもつ犬のランキングは、動物行動学者のBenjamin HartとLynnette Hartが行ったもので、ここでいう遊び心とはボールやコング、フリスビーを追いかけたり、隠れんぼなどのゲームに参加する意欲のようなものを意味しているそうです。
もっとも遊び心のある10犬種は以下のとおりです
- アイリッシュセッター
- イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
- ミニチュア・シュナウザー
- ケアンテリア
- エアーデール・テリア
- スタンダード・プードル
- シェットランド・シープドッグ
- ゴールデン・レトリバー
- オーストラリアン・シェパード
- ミニチュアプードル
- ジャーマン・ショートヘアード・ポインター
コレン博士のブログには、56犬種の全てが記載されています。
面白く見えるが、実は面白くない行動
人間には面白い行動に見えるけれども、実はユーモアとは真逆の問題行動である(あるいは問題行動になる)ケースもあるので注意が必要です。
たとえばひっきりなしに尻尾を追いかける行動は、大きなストレスを抱えていることや、心が不安定になっていることが原因だということがあります。いつもは犬を無視しているのに、尾追いのようなストレス行動だけに注目する場合は、その行動が強化されてしまい治療困難な状況になる恐れがあります。
また、犬が遊びたいときにオモチャを持ってくる行動は、非常に可愛いものである一方、わがままを助長する恐れもあるので注意です。遊び時間の開始終了は飼い主が決めて、終了後はオモチャを片付けてメリハリをつけた方がしつけの面からは望ましいといえます。
遊び心のある行動は、それが健康なものである場合には、おさえつける必要はないものです。ただ、遊ぶことが大好きな犬ならば、延々と遊びに付き合わされることにもなりかねないため、「終わり」や「やめ」「おすわり」などの興奮をおさえるコマンドも一緒に覚えてもらうようにした方が良いです。
たくさん楽しく遊んだら、コマンドで穏やかな犬に戻れるようにしましょう。穏やかなイイコに戻ったら、オヤツやナデナデで褒め称えてあげましょう。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Do Dogs Have a Sense of Humor? | Psychology Today
[2] Do Dogs Have a Sense of Humour? | Modern Dog magazine
Featured image creditDmytro Zinkevych/ shutterstock
犬の表情のお話〜笑顔と恐怖は紙一重!? | the WOOF イヌメディア
犬も笑顔のような表情を見せることがあります。口を少し開き、舌をチロリと覗かせるような表情です。 これは犬が慣れ親しんだ家族と遊んだりくつろいでいるときに見られることが多く、私たちがいう”笑顔”に相当しそうです。