攻撃性、逃走、喧嘩、過剰な興奮または吠えなどの「望ましくない行動」がある犬は、より若い年齢で死ぬ可能性が高いことが、研究により明らかになりました。
これらの行動は、飼い主による不十分なトレーニングや、治療されていない病気などに起因する可能性があり、犬の訓練と飼い主教育により救うことができると研究者らは主張しています。
研究は、Animal Welfareに発表されました。
調査を実施したのは、Royal Veterinary College(RVC)、VetCompassプログラムの研究者ら。調査の目的は、イギリスで2009~14年の間にプライマリケアを受けた3歳未満の犬について、望ましくない行動(Undesirable behaviours:UBs)と死亡との関係を明らかにすることにありました。
調査によりわかったことは、以下のとおりです。
- 3歳未満の犬が死亡したケースの33.7%が望ましくない行動(UBs)により引き起こされた(たとえば胃腸障害からの死亡は14.5%であり、他の死亡原因と比較しても高いと研究者は強調している)
- メスと比較すると、オスではUBsから死亡する確率が1.4倍高い
- 死に至るもっとも一般的なUBsは攻撃性(Agression、54%が死に至る)
- 交通事故による死亡は39%(これらには、逃走癖やさまよい癖、不十分な訓練などが影響しているかもしれない)
- 交配犬(Crossbred dogs)は純血種より1.4倍、UBsによる死の確率が高い
- 体重が10kg未満の犬は、体重が40kgを超える犬よりも死亡率が2倍以上高い
- ラブラドール・レトリバーを基準にしたときの死亡リスクが高い品種:コッカー・スパニエル(8倍)、ウェスト・ハイランド・ホワイトテリア(5.7倍)、スタフォードシャー・ブル・テリア(4.5倍)とJack Russell Terrier(2.7倍)
- UBsから亡くなった犬のうち、12.9%の飼い主が獣医による行動アドバイスを求めていた。これらの犬の76.2%は、気質を理由として安楽死させられた
RVCのDan O’Neill博士は「この研究は、ブリーダーによる子犬の社会化、飼い主による賢明な品種選択、犬を飼った後の犬の訓練の重要性を示唆するものです」とし、次のように語っています。
「飼い主が容認できない行動をする犬は、行動の根底にある原因または飼い主による問題解決(体罰や痛みを伴う飼育器具)などによって、心身の平穏が脅かされている可能性があります。この問題をより深く認識することは、問題を減らし、何千という若い犬の生活をより幸せにする一歩となるでしょう」
ケネルクラブチャリティー・トラストのSteve Dean会長は、こう述べています「幸せで健康なペット犬を育てるためには、訓練と社会化は不可欠な要素です。この論文は、犬が望ましくない行動のために命を失うことになる状況がどの程度のものかを明らかにしています。これらのすべては、適切な社会化と訓練を通じて対処することができます」
「望ましくない行動を防ぐため、すべての犬の飼い主に、評判の良いトレーニングのクラスに参加することをお勧めします。社会化は、子犬の生後数日で始まると言われます。社会化のために時間を割いて、新たな飼い主に子犬を育てるための情報とガイドを提供できる良いブリーダーを見つけることを強く推奨します」
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Boyd, C., Jarvis, S., McGreevy, P., Heath, S., Church, D., Brodbelt, D., & O’Neill, D. (2018). Mortality resulting from undesirable behaviours in dogs aged under three years attending primary-care veterinary practices in England. Animal Welfare, 27(3), 251-262.
[2] Misbehaving dogs die young – News – VetCompass – Royal Veterinary College, RVC
若いオス犬は交通事故にあうリスクが高い(研究) | the WOOF イヌメディア
イギリスで行われた研究によれば、オス犬はメスに比べて交通事故に遭うリスクが40%高いそうです。 ロイヤル・ヴェテリナリー・カレッジの研究者らは、2009年から2014年に発生した道路上での衝突事故(RTC:a road traffic collision)について調査を行い、1000匹のうち4匹が事故に遭い、うち1/4が死亡していると発表しました。