肥満解消の方策といえば食事制限や運動が一般的ですが、犬の肥満の場合は飼い主の行動をコントロールすることも減量に効果があるようです。
イギリスの研究者は過去に発表された論文のレビューを行い、飼い主の行動を変えることが犬の肥満解消に一定の効果があることを見出しました。
研究が行われたのは、約60%のペットの犬が肥満であると推定されているイギリスです。Marta KrasuskaとThomas Webb(シェフィールド大学)は、データベースに登録されている論文を検索し、犬の肥満を解消する目的で所有者の行動に介入した14の研究を特定し、これらを統計的に分析しました。
結果、所有者の行動をコントロール対象とすることが、ペットの犬の肥満を減らすうえで効果的な方法であることを示唆されたということです。
研究者は、「飼い主の行動は明らかに、犬の肥満傾向に影響します」とコメントしています。
おデブになるのはペットの犬たちですが、彼らの食べ物を決定するのも、運動をするかしないか、どのくらいするのかを決めるのも、結局は飼い主です。肥満や体重のコントロールをする目的で飼い主の行動に介入するのは、理にかなっていますよね。
レビュー対象となった論文で試された「所有者行動への介入の方法」には、以下のようなものがありました。介入の期間は平均して3ヶ月でした。
- 行動の目標を設定:適切に運動させ、過剰摂食させないための目標を設定する。たとえば、毎日特定の時間帯(朝や夕方)、あるいは一定の時間(30分など))に散歩させることや、オヤツの数やごはんの量などを決め、目標として設定するというもの
- ゴールの設定:たとえば、1週間で体重を●g減らすなど、目指すゴールを決める
- 飼い主の知識を増やす:健康を維持するための食事や運動について、飼い主に学んでもらう。何をどのくらい食べさせたら良いか、どの程度の運動が必要かなどの知識を増やすことも効果がある
- 行動の記録をつける:「朝食としてドライフードを●g食べさせた」などを記録しておく。複数人で世話をしている場合には、ボードなどを使って明示することにより、余分な食事を与える失敗を防ぐことができる
- 定期的な獣医師訪問:正確な体重を測ること、および定期的なプロのフィードバックを受けること
本レビュー研究では、(上で示したような)行動介入のうち、どれが効果的であったのかは示されていません。対象となった論文の数が14と少ないこと、および、一部は方法論的観点から低品質であることが、研究の限界であるようです。
とはいえ、犬の食事や運動を管理するのは飼い主の大事な役目。「忙しくてあまり散歩に連れていけない」という方には耳の痛い話かもしれませんが、ご自身の健康維持のためだと思って、ここはひとつ頑張っていただきたいと思います。
目標は犬の行動ではなく、飼い主さんの行動を変えるようなものにしましょう。「週に3回は、早起きして朝散歩」とか「10分は早歩き」とか「1日分のカリカリの量を測る」などでも良いですし、あるいは「自分の体重を3ヶ月で●kg減らす」などでも良いかもしれません。
日本在住ワンコでも、「ぽっちゃりさん」や「小デブさん」は増えてきています。人間同様に犬たちも、体重増加や肥満により糖尿病や変形性関節症などの病気のリスクが大きくなります。いつまでも元気に走ってもらえるように、愛犬と二人三脚でダイエットに励んではいかがでしょう。きっと楽しく減量できますよ。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Krasuska, M., & Webb, T. L. (2018). How effective are interventions designed to help owners to change their behaviour so as to manage the weight of their companion dogs? A systematic review and meta-analysis. Preventive veterinary medicine.
[2] For Overweight Dogs, Owner Behavior Matters | Psychology Today Canada
Featured image creditJason Pier in DC/ Flickr