なぜ私の犬の舌は出たままなのか?

犬のカラダ
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犬の舌がチロリと突き出ているさまは、とても可愛らしいものですよね。しかし舌がベローンと大きく垂れ下がり、口の中に戻ってくれないとなると、ちょっと心配になってきます。

犬の舌が出たまま戻らない状態〜”垂れ舌症候群”

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image by xkunclova / Shutterstock

犬の舌は冷却装置であり、水を掬い上げるひしゃくであり、傷を治す薬であり、食べ物を運ぶコンテナであり、味やモノの様子を伝えるセンサーであり、身だしなみを整える道具であり、仲間とコミュニケーションツールでもあるなど、たくさんの役割を果たすもの。通常は、口の中に収まっていますが、出ずっぱりになってしまうこともあります。

舌が出たままになるもっとも一般的な理由は、「熱を逃すため」というものです。暑い日や運動の後などには、犬は身体の熱を逃すために舌を出しっぱなしにします。人間のように汗をかくことができない犬は、水分を蒸発させて舌を冷やし、冷えた血流を通じて呼吸器全体を冷やすという身体の仕組みを使って体全体を冷すのです。

これ以外の原因で舌が出ずっぱりになっている状態は、Hanging Tongue Syndrome(垂れ舌症候群)と表現されます。これは病気の名前ではなく、犬の舌が出たままになっている状態を指す俗称です。なお、現在までに信頼できる情報ソースに適切な日本語訳が発見できなかったため、本記事では仮に”垂れ舌症候群”と訳語をつけています。よりナイス訳語があれば教えてください。

”垂れ舌症候群”の原因として考えられるもの

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image by Billion Photos / Shutterstock

”垂れ舌症候群”は、犬が制御できるものではありません。犬は、何らかの理由により口の中に舌を引き込み、その状態で維持し続けることができないのです。

出ずっぱりな舌は可愛いものですが、乾燥や腫れ、出血などの原因になります。また、健康上の問題を抱えていることが原因で、舌が出ずっぱりになっているのかもしれません。

”垂れ舌症候群”の原因として考えられるものには、以下のものがあります。

  • 遺伝:パグやペキニーズなどの頭が小さくフラットな顔の犬は、遺伝的に口腔が小さいため、舌を収めることができない個体があります。または顎骨が小さく、舌を支えることができない場合もあります
  • 重度の歯科疾患、あるいは歯並び:歯の腐敗などにより、歯が抜けてしまったことにより、舌を収め続けることが困難になることがあります。歯の並びが悪いために、舌を収めることが難しくなるケースもあります
  • 投薬や一時的な傷害:投薬や治療の影響で、犬の舌が出ずっぱりになることがあります。治療中、または投薬中に発生するケースでは、治療や投薬が終了すると多くは元に戻ります。これが疑われる場合は、獣医師にそうした症状が副作用として認められているかを確認しましょう
  • 外傷の影響:犬がマズルや顎になんらかの外傷を負った場合も、舌が出ずっぱりになることがあります
  • 神経学的な問題:突然に”垂れ舌症候群”が発症した場合は、神経学的な問題(脳や脊髄の損傷など)が疑われます。毒性のある植物や化学物質の暴露によっても引き起こされることがあり、この場合は、他の症状(ふらつきなど)を伴うことが多くあります
  • 口腔癌およびその他の炎症:舌は口腔腫瘍が発生しやすく、腫れや隆起、イボなどが”垂れ舌”の原因になることがあります。この他、舌炎、口内炎、歯肉炎などの炎症も原因になります

”垂れ舌症候群”は犬の生活にどう影響するの?

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image by A. Laengauer / Shutterstock

暑い日や運動の後に、愛犬の舌がベローンと出ていたとしても、通常は問題ありません。単に身体を冷やそうとしているのでしょう。しかし、長い時間舌が出ずっぱりなら熱中症などを心配すべきですし、さらにそのまま戻らないなら他の病気が心配です。獣医師に相談しましょう。

舌が絶え間なく出ている状態だと、犬の舌は乾燥し、痛みを伴う状態になってしまうことがあります乾燥は舌をひび割れさせたり、変色させることもあります細菌感染や冬の凍傷も心配です。このため、舌が出たままの状態が続く犬の飼い主は、舌の質感に変化はないか、出血、腫れ、変色などないかを観察し、異常が発見されたら獣医師に確認しなければなりません。

獣医師はその原因や状態により、治療を試みることもあります。原因となる疾患の治療に適していると思われる薬、サプリメント、および食事療法、あるいは歯科治療によって改善が試みられるケースもあるでしょう。日常生活に支障をきたす場合(食事に支障がある場合など)には、手術が検討されるかもしれません。

原因が遺伝的であり、注意すれば問題なく生活できるのなら、愛犬の可愛い個性として付き合っていきましょう。運動量を調整し、適切なタイミングで十分休息をとるようにすることや、常に水が飲めるような状態にしておくことが大切です。


そうそう、完全にリラックスした犬も、舌を出しっ放しにすることがあります。あなたの横でのんべんだらりとする犬の舌が出たままならば、犬はまさに至福の時を過ごしているのかもしれません。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] What is Hanging Tongue Syndrome? | CANIDAE®
[2] Why Does My Dog’s Tongue Stick Out? – Dogtime

Featured image credit Annette Shaff / Shutterstock

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