愛犬に話しかけるの私は変なのか?〜擬人化は知性の表れという話

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ついつい愛犬に話しかけてしまう、という飼い主さんはとても多いと思います。「最近、ちょっと食べ過ぎだよね。一緒にダイエットしましょうね〜」などと話しかけても、理解しているかは微妙だし、同意を得られるはずもない。それでも私たちはどうしても、可愛い4本脚に声をかけてしまうのです。

愛犬に話しかける私は、ちょっと変なのでしょうか?

愛犬の擬人化は社会的知性を有することの副産物

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image by University of Liverpool Faculty of Health & Life Sciences / Flickr

どうやら、変なことではないようです。「犬に話しかけるのは、変てこじゃない」とする記事が、QUAERZに掲載されました。記事によれば、ペットや植物、車に話しかける人は極めて普通なのだそうです。

ぬいぐるみや家電製品に話しかけるなどの、人以外のものに人の心を割り当てる行為を擬人化といいます。ぬいぐるみに話しかける行為はちょっと幼稚で時にアブナイ行為に見られてきましたが、シカゴ大学の行動科学分野の教授、エプリー博士(Dr Nicholas Epley)によれば「人間の知性を特別なものにする性質が生み出したものなの」だそうです。「(人間以外の)他の種にはないもの」であり、社会的知性を有することの副産物だというのです

私たちが擬人化するのは主に、①顔を持っているように見えるから、②対象が予測不可能な動き(行動)をしたから、③対象を愛しているから、という理由から。人は捕食者と友人とを見分けるために「顔っぽい」ものを認知しやすくなっていて、人はそれらの「顔っぽく」見えるものを、人のように扱うというのが1番目に提示した理由です。

また人は、予測不可能なモノに対しても擬人化をする傾向があるそうです。例えばPCの電源が入らなくなると「ちょっと具合が悪いみたい」「病院に連れて行かなくちゃ」なんて言うことがありますよね。理解しがたい出来事を説明し合理化するために、人は擬人化を使うこともあるのです。

そして愛情を持つ対象についても、私たちは擬人化をします。好きになればなるほど、あるいは近づけば近くほど、その存在の心に深く関わりを持とうとする傾向があるのです。人であろうとモノであろうと「心があるか」に関わらず、その傾向はあるのだといいます。例えば2011年に行われた、可愛らしさが人に与える影響について探索した研究では、参加者は赤ちゃんやペットに愛情を示しただけでなく、名前をつけたり話しかけたりの擬人化を行う傾向が強いことが示されました。

変ではないどころか、社会的知性の表れかもしれないのですぞ。すごいことじゃないですか。

犬は素晴らしい聞き役である

犬についつい話しかけてしまうのには、犬が良い聞き手だからだという意見もありそうです。なんと言っても犬は、あなたに評価を下さず、文句も言わない良き相手。ゆったりと横たわり話を聞いてくれる我らが犬は、心を落ち着かせてくれるカウンセラーのような存在です。

アメリカン大学のビジネススクールには、人前でのスピーチに不安を覚える学生を対象とした特別なプログラムがあります。学生たちはプログラム内で、犬を聴衆に見立ててプレゼンテーションの練習をするのです。「フレンドリー且つ批評をしない犬に話をすることで、血圧を下げてストレスを軽減し、気分を高めることができます」という宣伝文句のとおり、学生たちには良い影響を与えているようです。「犬がいると自然に笑顔になる」と、その効果を評価する学生は少なくありません。

また、犬は私たちの話を”理解している”ようであるということも、私たちの話しかけ行為を後押しします。犬によっては「散歩」「オヤツ」の意味するところを覚えていますが、そうした賢い犬たちに「お散歩行こうか〜」「オヤツ食べる」と話しかけることは、それほど変ではありません。さらに、犬たちは言葉のイントネーションボディランゲージ、そして顔の表情から、私たちの言わんとするところを理解しており、時にそれは成功しています。

さらに、犬に話しかけることは、人間同士の関係を円滑にすることにも役立ちます。犬の存在は人間どおしの葛藤を回避し、解決することにもつながると言われています。

犬に親切な話し手になる努力を

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image by Simone Dalmeri / unsplash

このように、犬に話しかけるのは変てこな行為ではなく、私たちの心に良い影響を与える納得な行為です。恥ずかしがることはありません、どんどん話しかけましょう!

…と言いたいところですが、犬にだって都合があることを忘れてはなりません。犬は、人間の発言や身振り手振りを理解するために、大きな努力をしているのです。私たちも時には努めて、”犬にわかる話”をするようにしなければなりません。

はっきりと短い言葉で話す。理解できたらご褒美をあげる(オヤツでも、褒め言葉でも)。大きな身振りで、愛犬との共通語を増やしていく。”犬にわかる話”を続けることで、彼らにとっての”よき話し相手”となることだって夢ではありません。

あなたは愛犬にどのように話しかけますか?どんな話を聞かせてあげますか?#inulog、またはhello@woofoo.jpに教えてください。

Featured image credit Alicia Gauthier / unsplash

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