広がる介助犬活躍の場〜旅行者の渋面を笑顔に変える空港セラピー・ドッグ(米国の事例)

お仕事ワンコ
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盲導犬、裁判の証言者を支える犬癌を嗅ぎわける犬など、いろいろな分野で忠実に役目を果たしているワンコをご紹介してきました。今回は、空港で旅行者たちのストレスを軽減させるために働く空港セラピー・ドッグをご紹介します。

米国では30以上の空港で活躍中

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image by Stieber / Shutterstock

空港をテクテク歩く犬を見たら、ちょっとびっくりしてしまいますよね。でも、米国ではすでに30以上の空港で、何らかの形でセラピー・ドッグのプログラムが導入されているそうです。

導入されたきっかけは、2001年9月11日に米国内で同時多発的に発生したアメリカ同時多発テロ事件。テロに航空機が用いられたことから、旅行者が空の旅に感じるストレスは大きく増大しました。空の旅そのものに恐怖を覚える人が増えただけでなく、警備強化によるトラブル発生や待ち時間の増加で憤りを感じる人も増えました。旅行者の不安を緩和させるため、サンノゼ空港が急遽導入を決めたのが、私たちの心強い仲間、ワンコたちでした。

旅の玄関口である空港は、楽しい場所である一方、持ち物を人目にさらしたり行動が制限されたりと、ストレスを感じやすい場所でもあります。大きな事故や災害の後や、レジャーシーズンなどの混雑期は、どんな旅好きの人でも憂鬱になってしまうのではないでしょうか。そんなところに犬たちが駆け寄ってきてくれたら、気持ちがゆったりと落ち着きそうな気がします。

旅行者を笑顔で送り出す犬たち

昨年12月、ペンシルバニア州リーハイ・バレー国際空港(The Lehigh Valley International Airport)は、空港セラピー・ドッグを導入するプログラム(the C.O.P.E. Therapy Dog Program)を開始すると発表しました。導入の目的は顧客体験を向上させることにあり、具体的には旅行者のストレスを軽減させることと安心を与えることを目指しているそうです。

おしゃれなブルーのバンダナを巻いた犬たちは、メイン・ターミナルや出発ロビーを歩き回り、彼らのぬくもりを必要としている旅行者たちを支えます。セラピー・ドッグとして活躍しているのは、犬種やサイズは様々ですが、全てセラピードッグの団体から認定を受けた訓練を経たワンコたち。しつけが行き届いていて、初めて会う人からのハグやナデナデも受け入れます。空港特有の、飛行機が発する低音やスーツケースなどのガラガラ音にも集中力を乱されることはないそうです。

Bow WOW!!CONGRATULATIONS Paws 4 Passengers Therapy Dog Teams!Today, April 12, 2015 Paws 4 Passengers Teams completed…

Posted by Paws 4 Love Reno on 2015年4月12日

旅行者が急増するクリスマスシーズンにネバダ州のリノ・タホ国際空港(Reno-Tahoe International Airport)を肉球と愛で埋め尽くしたのは、Paws 4 Passengersに所属する犬たちです。なんと23匹のワンコたちが”ナデナデしてね!”と書かれたベストを着用し、多くの旅行者達から笑顔を引き出したのだとか。

そして今年の2月から、オハイオ州のデイトン国際空港(Dayton International Airport)での職務にまい進しているのは、ゴールデンドゥードル、キダ(Kida)。ハンドラーのモリーさんと共に、16ヶ月齢という若さでありながらセラピー・ドッグとしてのキャリアをスタートさせました。勤務時間は1日に2時間で、スケジュールは特に決まっていないそう。ゴールデンドゥードルは友好的で賢いことで有名ですが、アレルギー反応の出にくい犬としても知られています。多くの人と接するお仕事には、ぴったりなのかもしれません。


事件や災害後にストレスを感じる人の気持ちを暖かくする犬たち。こうした取り組みによって、一人でも多くの人たちが笑顔になってくれたらいいなと、心から願います。日本のセラピー・ドッグにかかる取り組みについても、今後どんどん取り上げていく予定です!

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
LVIA Creates C.O.P.E. Therapy Dog Program | Lehigh Valley International Airport (ABE)
Airport Therapy Dogs Are the Antidote to Holiday Travel Stress – Condé Nast Traveler
Therapy dogs greet passengers at Dayton Airport | Dayton News | www.whio.com

Featured image from Jaromir Chalabala / Shutterstock

広がる介助犬活躍の場〜身近な人の死を共に悼む「葬儀犬」たち(米国の事例) | the WOOF

米国では近年、葬儀場で人々の悲しみに寄り添うワンコさんが増えているそうです。 ニューヨーク州の葬儀場で働くゴールデン・ドゥードルのルル(Lulu)もその1頭。自然に人の気持ちに寄り添う優しさが、参列者を癒しているようです。

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