愛犬があなたのアドバイスを無視するのは、その内容がダメダメだからなのかも…。
それを示唆する研究が、エール大学の研究センター(the Canine Cognition Center at Yale)より発表されました。犬は、人間の行動を真似することができる一方で、タスク達成に必要のない行動は無視することもできることが示されました。
犬は、無駄な行動は真似しない
実験に参加したのは40匹の家庭犬(犬種はさまざま)。研究者はパズルの中にオヤツを入れたのち、取り出し方を教えるデモンストレーションを行います。
オヤツを取り出すためには、「ボックスの蓋を開ける」という行動だけが必要です。しかし、研究者たちはここに「ボックス側面に付属するレバーを押す」という関係ない行動を加えます。レバーを押す行為は、オヤツ獲得に何の影響も与えません。ちなみに、デモンストレーションを終えた後、研究者は犬の行動に影響を与えないように部屋から退出。ここからは犬が1匹で、パズル(オヤツ入り)に対峙しなければなりません。
犬は、初めは人間の真似をして2つの行為を行ってパズルを解き、オヤツにありつきます。しかしパズルを繰り返すに連れ、本当に必要なことが何かを知った犬たちは、’関係ない行動’を無視するようになったのです。
「犬たちは非常に社会的な動物だが、関係ない行動まで真似するほど他者に合わせるのではない」と語るのは、筆頭著者のジョンソン氏(Angie Johnston, Yale Ph.D student and lead author on the study)。「社会的手掛りから学ぶという能力は、驚くほどに人間に似ている。だから、犬が人間のデモンストレーションを無視し、自分でパズルを解きあかしたことに驚いている」
人間の子供は、無駄な行動も真似し続ける
同様のセッティングで行われた実験があります(パズルは犬向けより難しい)。対象となったのは人間の子供。子供たちは今回と同様に、研究者がパズルを解く様子から学びます。すなわち、はじめにレバーを動かし、次に蓋を開けるという行動です。
子供たちは、パズルを解くこととレバーとは全く関係ないにもかかわらず、繰り返し2つのアクションを行います。他の子と早さを競う形をとっても、その行動に変わりはなかったそうです。
人はたとえヘンテコなものでも、先例に従う傾向があるのです。。先例を破る、問題を解くことに集中する点では、犬に遅れをとっているのかもしれません。しかし、過剰模倣(overimitation)と名付けられたこの行動も、悪い側面だけではないようです。
人間の社会学習におけるユニークな側面である[3]という過剰模倣は、子供が(問題解決には)関係ないけれど重要な行動、すなわち歯を磨くとか手を洗うといった行動を学ぶ上で重要だとジョンソン氏は述べています[2]。衛生について理解をしていない小さな子供にとって、衛生行動は馬鹿げた行動。でも、親がすることを真似することで、子供達は馬鹿げたことでも学ばせることができるというわけです。一方、犬はもっとストレートに、問題解決(とりわけオヤツ)を目指しているようです。
論文は、Developmental Science誌に掲載されています。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Dogs ignore bad advice that humans follow | YaleNews
Johnston, A. M., Holden, P. C., & Santos, L. R. (2016). Exploring the evolutionary origins of overimitation: a comparison across domesticated and non‐domesticated canids. Developmental Science.
Horner, V., & Whiten, A. (2005). Causal knowledge and imitation/emulation switching in chimpanzees (Pan troglodytes) and children (Homo sapiens). Animal cognition, 8(3), 164-181.
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犬は’本当に’あなたの言葉を理解している〜言葉の意味を左脳で理解(研究) | the WOOF
犬たちは、どうやら 本当に あなたの言うことをわかっているようです。 犬たちは私たちが発する言葉を、意味とイントネーションを統合して理解しているとハンガリーの科学者が発表しました。論文(”Neural mechanisms for lexical processing in dogs.”)は、9月2日付の科学雑誌 Science に掲載されます。