【犬と留守番】どれだけ長ければ「長すぎ」なのか?留守番時間の目安と注意
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いくら犬を大切に思っているからといって、365日24時間を犬と一緒に過ごすことはできません。仕事や学校、家の用事などで、愛犬にお留守番を頼むことも少なくはないでしょう。
そんな時に気になるのが「何時間なら大丈夫?」「どれくらいが長すぎなの?」という点です。結論から言えば、何時間ならOKあるいはNGという基準はありません。それぞれのワンコにより、お留守番に耐えられる時間というのは変わってきます。すなわち、各家庭で犬の状況に合わせて大体の目安時間を見積もっておき、必要ならば対応を考えなければならないということです。
今日はこの目安時間を定める際、参考になりそうな情報をご紹介します。
動物福祉ニーズ:5つの自由とは
お留守番時間を考えるとき、忘れてはならないのが動物福祉の視点を持つことです。現在、福祉の基本として世界中に認められているステイトメントに「動物の5つの自由(The Five Freedoms)」があります。1979年に発表された本宣言は、獣医師団体や各国の福祉団体、虐待防止協会らの行動基準として採択されています。
5つの自由の内容は、以下のとおりです(訳語は公益社団法人 日本動物福祉協会のものを使用)。
- 飢えと渇きからの自由
- 不快からの自由
- 痛み・傷害・病気からの自由
- 恐怖や抑圧からの自由
- 正常な行動を表現する自由
まず食事と水を与える時間について考えなければならないことがわかります。トイレも配慮すべき項目です。家でできるコは排泄物の始末、外でしかできないコは健康への配慮がポイントになります。精神的ストレスも重要な項目で、社交的な犬が1人で過ごすことの影響も考えなければなりません。
トイレを我慢できる時間の目安
犬の尿の頻度は、年齢、性別、身体の大きさ、体調などによって変化します。一般的には、8〜10時間ごとに排尿する必要が、幼犬は健康な成犬に比べて頻繁に排尿する必要があります。
幼犬が排尿を我慢できる時間の目安は、生後月齢×1時間です。3ヶ月齢なら3時間以上我慢することはできないと考えましょう。健康な成犬でも8時間以上我慢させることは避けるべきです。一方で、介助犬などのいわゆる”働く犬”は、これ以上長く我慢できるよう訓練されていることがあります[1]。排尿を我慢しなければならない犬は、尿路感染症などの病気のリスクにさらされますし、我慢しなければならないストレスに耐えなければなりません。
エクササイズの観点から考える
お留守番の長さと運動不足の関係はイコールではありませんが、一日一緒にいられる方が運動や散歩の時間が充実すると考えても差し支えはないでしょう。
お留守番が長すぎる、あるいは運動が少ないことがわかる明確なサインは、留守番中の異常行動や破壊行為です。個々の運動の必要性は、犬の年齢や犬種、健康レベルにより異なりますが、一般的には健康な犬は、一日で延べ40〜60分の活動が必要です(連続していなくても良い)。愛犬に普段より長い留守番をお願いする場合には、意識して活動時間を長く充実したものにして、留守番時間はリラックスに充ててもらうように計画しましょう。
精神的な健康面から考える
イギリスの福祉団体DogsTrustは報告書の中で、犬を4時間以上放置すべきでないと謳っており、レスキュー団体The Battersea Dogs & Cats Homeは放置時間の上限を4〜6時間とコメントしています。精神面を考えた場合の理想的なシナリオでは、お留守番時間は4時間まで(幼犬は生後月齢×1時間)となります。
理想的なケアをするのは大変で、もしかしたら現実的ではないという人もいるかもしれません。ただ、愛犬の心と体の健康のためには、こうした理想的な基準について知っておくことは大切です。
長時間の留守番をお願いしなければならない時は、家族、友人、ペットシッター、あるいはオモチャ、機器などの力を借りてできるだけの準備はしてあげたいところです。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] How Long Is Too Long to Leave Your Dog Alone? – Pet Talk Article – Nat Geo WILD
[2] How Long is too Long? | Wags and Whiskers
【犬と留守番】犬の孤独を紛らわせる7つの工夫 | the WOOF
英国のペット保険会社 Animal Friends社は、飼い主が犬に留守番させる時間の平均は年間981時間ほどであり、犬が孤独に過ごすの時間は1日に3時間ほどと回答した飼い主は1/3にのぼるとする調査結果を発表しました[1] 。