犬の老化〜シニアワンコの眠りの特徴、睡眠障害とその対応

健康管理
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「そんな恰好で寝ていたら体が痛くならない?」と思うような体勢で、気持ちよさそうに眠るワンコたち。ごはんとおやつ、遊びとお散歩の次に好きなのは、眠ることなのでしょうね。

今回はワンコの睡眠、特にシニアワンコの睡眠についてのお話しです。 

ワンコの睡眠ってどんなもの?

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image by eldude009 / Flickr

・ご先祖様は夜行性

ワンコのご先祖様であるオオカミは、昼間は眠り、夜な夜な狩りをするという生活パターンの夜行性動物です。私たち人間と暮らすようになったワンコは、人間の生活パターンに順応し、昼行性になったと考えられています。

そんな昔の名残が残っているためか、昼間でもお仕事(かつては狩り、今はお散歩と遊び?)の合間にお昼寝は欠かさないワンコ。きっと、お仕事に全精力を注ぎこむため、エネルギーを温存しているのでしょう。 

・ワンコの睡眠時間

私たちのベストな平均睡眠時間は約7時間といわれていますが、ワンコではどのくらいなのでしょうか?

健康なワンコ(成犬)の平均睡眠時間は約14時間といわれており、私たちの倍!!そしてベイビーワンコでは平均18時間といわれています。では、シニアワンコでは?年齢を重ねるとともに睡眠時間は少しずつ長くなることが明らかにされています。

私たちより長い時間眠るワンコ。でも、14時間ずーっとぐっすり眠り続けるわけではありません。

・ワンコの睡眠パターン:レム睡眠とノンレム睡眠

睡眠には、ノンレム睡眠とレム睡眠の2種類があります。ノンレム睡眠は、大脳がお休みする時間で、まどろみ状態からぐっすり状態まで徐々に深い眠りについていきます。そして、ノンレム睡眠に続いてレム睡眠が訪れます。このレム睡眠では、大脳は覚醒していますが、身体はぐったりとなり、深い休息をとっています。人やワンコは、このレム睡眠の間に夢を見るといわれています。

人では、眠りにつくとまずノンレム睡眠が1時間半から2時間ほど続き、その後、レム睡眠が10分から30分ほど継続します。このサイクルが一晩に3~4回訪れます。ワンコも同じく、一晩にノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルを繰り返していますが、サイクルの時間は人よりも短くなります。また、人とワンコでは、レム睡眠とノンレム睡眠の割合が異なり、成人のレム睡眠は1日の睡眠時間のおよそ20%を占めますが、ワンコのレム睡眠は10~15%と考えられています。一方、成長するために眠ることが必要な新生児(人)ではレム睡眠時間は全睡眠時間の50%といわれており、ベイビーワンコのレム睡眠時間も成犬に比べ長いことが明らかにされています。

シニアワンコの睡眠パターン

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image by clarkmaxwell / Flickr

ワンコの睡眠時間と年齢との関係性を調査するため、1歳から14歳までの48頭のビーグル犬を対象にした研究が報告されています。このアメリカの研究によると、年齢が高くなるにつれ、昼間の睡眠(お昼寝)の回数は増え、1回のお昼寝時間は長くなることが確認されています。また、夜間の睡眠時間も加齢と共に長くなり、1日の睡眠時間は徐々に長くなることがわかりました

なお、この研究では、1日1回のごはんと2回のごはんの違いにより睡眠時間は変わるのかという調査も行っています。そして、1日2回のごはんを食べているワンコのほうが、早寝早起きで、お昼寝の回数は少なく、1回のお昼寝時間が長いことがわかりました。

シニアワンコでは、消化機能も衰えてくるため、1回の食餌量を少なくして複数回に分けるよう推奨することがあります。上記の調査結果からも、1日1回のごはんより1日2回のごはんのほうが睡眠の面からもシニアワンコにはよいのかもしれませんね。

シニアワンコの睡眠障害と対応

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image by Stewart Baird / Flickr

ワンコはシニア期に突入すると、夜中に何度も起きることがあります。その原因は様々で、原因により対処法は異なります。まず、どのような原因で夜中に起きるようになったのかを探るため、ワンコの様子を観察してみましょう。

次のチェックリストから当てはまるものがあるか、確認してください。

睡眠チェックリスト

1. 突然、毎晩のように起きるようになった
2. 昼も夜も寝てばかりいるようになった
3. 食欲の増減やトイレの変化、元気がない、散歩の途中で止まるようになったなど、他の変化がみられる
4. 行動の変化がみられる。(お座りやお手など、今までできたことができない、もしくは時間がかかる。吠えることが多くなった。以前よりもフレンドリーではなくなった。トイレの失敗が増える)
5. 夜に起きる時間が長くなり、昼間は寝てばかりいる
6. 最近、フードを変えた
7. 視力や聴力が低下したようだ
8. 最近、引越しなど大きな環境の変化があった
9. たまに夜中に起きるようになったが、昼間の様子はあまり変わらない

疑われる原因と対処法

1~3:シニアワンコによくみられる甲状腺機能低下症や、関節炎、腫瘍、その他の病気かもしれません。早急に動物病院で診察してもらうことをおすすめします
4~5:認知症かもしれません。動物病院で診察してもらいましょう
6:フードを急激に変えることにより、下痢や便秘などの症状はみられなくても、おなかに不快感を感じることがあります。フードを変えるときには、今までのフードを混ぜながら、2週間ほどかけてゆっくりと新しいフードに切り替えていくことをおすすめします
7:視覚や聴覚が低下してきたワンコは、夜中に起きたときに周りが真っ暗だと不安になることがあります。そのため、ワンコのベッドの横にナイトランプなどを設置し、真っ暗にならないよう気を付けてみましょう。視力や聴力の低下による不安を軽減するため、また、神経質なワンコの不安を改善するため、ADAPTIL®(※1)やラベンダーオイル(※2)などが効果的かもしれません
8:シニアワンコでは、環境の大きな変化にストレスを感じることがあります。ストレスを軽減するため、上記のナイトライトやラベンダーオイル、ADAPTIL®、マッサージなどを試してみましょう
9:シニアワンコでは、若いときよりも不安に感じることが多くなります。そのような不安を軽減するために、上記のナイトライトやラベンダーオイル、ADAPTIL®が効果的かもしれません。

また、以下のような点にも注意してみましょう。

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