犬のフードの切り替えは、原材料が変わることによる消化不良を避けるため、食いつきが良いか悪いかに関わらず時間をかけて行うのが基本です。
フード切り替えのタイミング
犬のフードは、頻繁に切り替える必要はありません。ただ、犬の成長や病気、あるいは製造販売の問題などにより、切り替えの必要が生じるものです。フードの切り替えは、主に次のようなタイミングで行われます。
- 授乳期用から成長期(子犬)用へ:生後8週齢ごろまでは、犬の母乳の成分をもとにした授乳期用フードが与えられます。この時期をすぎた犬には、成長期を支えるタンパク質やビタミンなどが豊富な子犬用フードへの切り替えが必要です
- 子犬用から維持期(成犬)用へ:成犬になる1歳前後(大型犬だと1歳すぎ、超小型犬なら10ヶ月ごろ)には、成犬の活動レベルに合致したフードに切り替える必要があります。もう急激な成長を支えるフードは合わなくなるからです
- 成犬用から老齢期(シニア)用へ:平均寿命の半分の年齢に達したころには、フードをシニア用に切り替えましょう。運動量や代謝の低下や、身体の機能の衰えをカバーするように調整されたフードで、シニア期を元気に過ごしてもらうためです
- 妊娠期・授乳期用へ:妊娠している犬や授乳中の犬は、カルシウム含有量が増えたエネルギー高密度食品が必要です。通常の肉中心のフードだと、リン過剰やカルシウム不足・過剰のため、子癇(しかん:分娩後にみられる発作性の全身痙攣)のリスクが高まります
- 1日目 新フード20%:前のフード80%
- 2日目 新フード40%:前のフード60%
- 3日目 新フード60%:前のフード40%
- 4日目 新フード80%:前のフード20%
- 5日目 新フード100%
このほか、フードの生産終了やリコールなどにより、使い続けることができなくなった時も、フードの切り替えが必要です
フード切り替えの一般的な方法
ドッグフードを切り替えても、目に見える変化がない犬や、食いつきに変化がない犬もいます。しかし、たとえ同じブランドの別ラインだとしても、異なる種類の原材料を使用していることもあるため、犬の身体には少なからず影響があるものです。
このためフードを変更する際には、5〜7日間の移行期間を設けましょう。別ブランドのフードにする場合や、穀物なしから穀物ありなど原材料が大きく異なるフードに切り替える場合は、もう少し時間をかけて10日ほどの移行期間を設けても良いでしょう。
フードの切り替えは、前のフードに新しいフードを混ぜて与えて様子をみながら行いましょう。PetMDに掲載されていた、Dr. Jennifer Coatesが患畜に推奨する配分は以下のとおりです。
7日間で移行する場合は、5〜6日目で25%と75%に変更し、7日目の100%を目指します。候を探します。
より慎重にフードの切り替えをするときは、同じ時間に同じ量を与え、食べ残したときは片付けて間食(オヤツ)なども与えないようにしましょう。
切り替えを行う際の注意事項
切り替えプロセス中のどの時点でも、犬が嘔吐や下痢を起こしたり食べなくなってしまったときは、一旦中断するか、配分を前のレベルに戻しましょう。
嘔吐や下痢などが顕著な場合は、フードに不耐性やアレルギーがある成分が含まれている可能性があります。便の異常が続くようであれば、獣医師に相談してみましょう。
移行プロセスの間は、飲水量も併せて確認しましょう。量が顕著に減っている場合や、異常な量の水を飲む場合は、新しいフードが消化器系に何らかの影響を与えている可能性があります。明らかに飲水量が変わった場合は、移行プロセスを見直すか獣医師に相談しましょう。
フードを素早く切り替える方法
急な販売中止やリコールなどにより、フードを急いで切り替えなければならないことがあります。その場合はドッグフード自体の選択が大きなポイントになってきます。
・類似のドッグフードを探す
フードを突然切り換えなければならない時は、それまでに食べていたものと同じ成分のものを選びましょう。羊なら羊、サーモンならサーモンと同じものを継続します。また、成分ラベルを確認し、タンパク質、繊維、脂肪の割合が似通ったものを選択しましょう。
・小量の食事をいつもより多く与える
前のフードがなくなっている時や、7日間の移行プロセスが実施できるほどに残っていないときは、少量のフードを数時間おきに与える方法を試してみてください。残したフードは食後一定時間を置いたら片付けること、オヤツ(間食)を与えないことを徹底しましょう。特に大きなトラブルがないのなら、数時間おきに少量のフードを与えます。慣れてきたら頻度を減らし、普段の食事スタイルに切り替えましょう。
・処方食やサプリメントの助けを借りる
お腹が弱いことがわかっている犬の場合、急な切り替えは下痢や嘔吐などに繋がりやすいので注意が必要です。可能であれば獣医師に相談して、消化の良いフードを推薦してもらったり、下痢を抑えるようなサプリメント(プロバイオティクスなど)を教えてもらいましょう。この場合も少量ずつ、ゆっくり切り替えることを心がけてください。
フードの切り替えの際は、新しいフードの身体への影響を見極めるため、オヤツやおすそ分けは避けた方が良いでしょう。敏感なコであれば、同じブランドの同じラインのフードでも、影響を受けることがあるので注意が必要です。
繰り返しになりますが、獣医師の特別な指示がある場合を除いては、フードの切り替えは「少量ずつゆっくりと」が鉄則です。
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ライフステージ別の栄養管理〜年齢に沿った食事はなぜ重要か | the WOOF イヌメディア
犬も年齢層によって、必要となる栄養素の量は異なります。ライフステージごとの適切な栄養管理は、愛犬の健康で幸せな生活を支える大切なものです。