1万2400歳の子犬のミイラ、調査が進む〜脳の保存状態も”極めて良好”

サイエンス・リサーチ
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2015年にシベリアの永久凍土から発見された子犬のミイラの、解凍調査の様子を収めた動画が公開されています。ほとんど損なわれていない状態であることが話題となった子犬のミイラですが、四肢や内臓だけでなく、脳についても”極めて良い状態”であったことが発表されました。

人間のペットだったと推察される子犬

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image from Tumat puppy autopsy / YouTube

子犬が発見されたのは2015年8月。ロシア北部にあるサハ共和国の永久凍土層から、頭から尻尾まで、被毛や肉球、歯がしっかりと残された状態で発見されました。

四肢だけでなく、内臓器官についてもほとんど損傷はなく、腸や胃の一部も保存されていました。すでにDNA解析が行われており、この子犬がオオカミよりも現代の犬に近い遺伝子を持っていることがわかったそうです。ただし、この時代には両者の遺伝子間に大きな違いはないため、断定するには更なる詳細な調査の結果を待たなければならないということです。

子犬が発見された近くには、人間が居住していた痕跡(屠殺や火を使った跡がある骨など)が発見されていたことから、この子犬が人間のペットであったのではないかという考察がなされています。また、近くでは同様に、子犬の兄弟姉妹と考えられる別の子犬のミイラが発見されいます。

なお子犬の死因は、地滑りなどよって崩れた土砂に飲み込まれたためではないか、と推察されています。

絶滅動物のクローン化を一歩進めることになる?

調査に参加するニコルスキー博士(Dr Pavel Nikolsky)は、脳が極めて良好な状態にあったことについて、「保存の度合いは70%-80%。抽出したのちには、より正確なことが言えるだろう。今のところは、MRIスキャンによって観察している。もちろん、やや乾燥はしているものの、前脳、小脳、脳下垂体は観察可能である。更新世時代(約258万年前〜約1万年前の期間)のイヌ科肉食動物の脳を観察できるのは、これが初めてだろう」と語っています。

この調査には韓国人研究者ファン・ウソク博士も参加しており、子犬のクローン化にも強い興味を示しているようです。ニコルスキー博士によれば、「ウソク博士も保存状態に満足しており、大変喜んでいる。我々は遺体を徹底的に調べ、軟組織を触診し、最も良い保存状態の部位を探索した。結果、皮膚、筋肉、耳の軟骨からのサンプルが得られた」ということで、このサンプルをもとにクローン化に着手することが伺えます。

このほか、体内の微生物とミイラの周りの土砂にいた微生物を確認したり、身体に残された寄生虫を特定するなど、様々な調査が行われるようです。

どんな顔をしてどんな体躯を持つ犬だったのかも気になりますが、この時代の人間たちとどんな関係を築いていたのかという点にも興味をそそられます。私たちと犬たちとの関係は、一体どの時代まで遡るのができるのでしょうか。新しい発見にワクワクしてしまいますね。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Ancient puppy’s brain is ‘well preserved’… as dog bares its teeth after 12,400 years
[2] ‘Sibling’ of oldest mummified puppy in the world found preserved in permafrost

Featured image from Marc Dove / Flickr

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