人の周りにいることに幸せを感じる犬は多いですが、社交的な犬にもプライベートを保持できる場所は必要です。何かがあったら逃げ込める避難所=逃げ場の存在は、愛犬の心の支えになってくれることでしょう。
今日はこの犬の避難所のお話。なぜ必要か、どんな場所が理想的なのかをまとめておきます。
なぜ避難所が必要なのか
・ストレスを緩和させる
普段はソファの上やクッションの上でゆったりと過ごしている犬も、苦手な音・モノ・出来事を前にすると身を隠す行動に出るものです。例えば我が家の犬は、人間同士の喧嘩が勃発すると、そそくさと自分のクレートに避難します。ストレッサーとなるモノ・音・他の人などからのストレスを和らげるためにも、避難所=逃げ場は必要です。
・体力回復のため
ゆったりと休める場所は、犬たちの体力の回復のためにも必要です。来客やパーティのとき、犬の体調があまりよくない子犬や老犬には、意図的に避難所を使い、体力回復のための時間を取るように心配りをしましょう。
・選択肢を与えることで安心と自信を与える
逃げ場=避難所を与えることは、犬に選択肢を与えるということ。いつでもその場所を選択するとは限りませんが、「逃げ込める場所がある。自分の意思でいつでも行くことができる」ことは、犬たちにとって安心と自信の源になるものです。
ストレス・サインが出ていたら”避難所”の活用を
来客やパーティなど「いつもと異なる」場合には、ストレスの徴候を見逃さず、積極的に避難所を活用して愛犬を休ませましょう。人間には可愛いと映る彼らの行動も、「疲れた」「怖い」「嫌だ」を表現するものなのかもしれません。
犬のキモチを読むヒントは、以下のようなサインやシグナルの1つ以上を同時に見ることです。2つ3つが一緒に出ているようならば、何らかのメッセージを伝えようとしている可能性が高いです。
- カーミング・シグナル:唇を舐める、あくびをする、目を見開く(白目をむく)、逆毛を立てる、身震いする、耳を倒す、尻尾を下げる・隠す
- 身体を硬くする:周囲を警戒している、緊張している表れです
- 後ずさりをする|隠れる:ストレッサーや危険なモノ・コトを避け、安全を確保しようとしています
- 唸り声を上げる: 犬が不安や恐怖を感じ、避難所を必要としている明確なサインです
ホリデーシーズンは愛犬のストレスに注意〜お疲れサインを見逃さず心のケアを | the WOOF
安全な避難所をつくる
避難所=逃げ場は、「愛犬が、他の人や犬の目に晒さず、心穏やかに過ごせる場所」と考えましょう。人が集まる場所から離れた、静かで快適に過ごせる場所が望ましいです。
- ペットが複数いる場合には、それぞれに避難場所を用意してあげましょう
- 愛犬の普段の様子から、どういったところを好む(安心を感じるのか)のかを研究しておきましょう。人が通る場所ではなく、部屋の角や壁に守られているような場所が良いでしょう
- 来客やパーティの前に、事前に避難所で過ごす練習をしておきましょう。おもちゃやオヤツを活用する、「ここならば安心できる」と覚えてもらう時間を作るのです
- 愛犬が大好きな毛布やおもちゃ、ベッドを用意しておきましょう。
- 愛犬が避難所で過ごしているときは、完全に1匹で放置されるように配慮してあげましょう。この場所で休んでいるときは愛犬の邪魔をしないよう、家族及び来客にお願いしておきましょう
安全な避難所を作っておく飼い主側のメリットには、愛犬を安心に過ごさせる他に、「愛犬がいつ、避難しなければならないほどのストレスを感じるか」が検証できるということがあります。掃除機を出すと避難所に逃げ込むということに気づいたら、掃除機が大の苦手であることを特定できますよね。
日々の暮らしの中で、そして来客やパーティの時に、避難所を上手に積極的に活用して、愛するワンコの心の安定を守ってあげましょう。
Featured image credit Matthew Henry / unsplash
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