先入観って怖いですよね。事実を一部だけ切り取っただけとか、単なる想像とか、そうしたイメージが心に根ざすと変えるのがとっても大変です。

ちなみに私、犬と暮らし始めて「犬はお風呂が嫌い（多くの犬は嫌いだけど）」「犬はとにかく食いしん坊でおねだりしてばかり（一部の犬はそうだけど）」という先入観を次々と打ち砕かれてきました。お風呂やシャワーが好きな犬は存在するし、食べ物を残す犬だって多くいます。犬にも得意不得意はあるし、好き嫌いがある存在なのですね。そんな当たり前のこと、一緒に暮らすまで気づきませんでした。

さて、今回は、水が嫌い、泳ぐのも別に好きじゃないというワンコたちのお話です。長らく「犬は泳ぐのが大好き」だと思っていましたが、そうでないワンコもいます。

ボールを取るためにボードでバランスを取るラブラドール

熱を集めやすい黒の被毛を持つラブラドール、アビー（Abby）。飼い主さんによると、1時間ほどはプールに浮かんでいたそうです。暑いやろ普通に！飛び込まんか！と叫びたくなりますが、パシャパシャと水しぶきをあげる様子を見ると「濡れるの、ヤなんだよね〜。髪型キープできないじゃん」とでも言いたげ。

尻尾を振り、重心を下げてバランスを取る様は素晴らしいのですが、水泳した方がスリムになれるんじゃない？と大きなお世話を焼きたくなってしまいます。

カヤックに乗っていたら沖に出てしまったラブラドール

こちらは水が嫌いどころか水を怖がっているラブラドールのロージー（Rosy、当時6歳）。丸まった背中は水に怯える彼女の心を表しているようです。

水のそばで遊んでいたはずなのに、気がついたら大西洋に向かうカヤックに揺られているという状況。大嫌いな水に飛び込むこともできず、尻尾と背中を丸めて助けを待つばかりのロージーは、大西洋に到達する前に救助され、無事に岸に戻ることができました（スコットランド、2015年7月のニュース）。

水嫌いの犬にしないために

犬と一緒に泳ぎたいとか、溺れているところを救助されたい（!）とか、”泳ぎが得意な犬”に夢を抱いている人は少なくないようです。しかし、犬種の特性と個性により、泳ぎが好きなコもいれば、嫌いで苦手なコもいます。

とはいえ、水泳は足腰への負担が少ない全身運動です。健康維持やダイエットのエクササイズとして、あるいは怪我からのリハビリとして、効果が期待出来るので、できれば”好きじゃないけど嫌じゃない”レベルには持っていきたいものですよね。人間がそうであるように、犬たちも老若男女を問わず、トレーニングによって泳ぐことはできるようになるそうです（極端に水が嫌いなコの場合は、プロの力を借りた方が良いでしょう）。

水に初めて接するパピーだけでなく、水が苦手なワンコに対しても、絶対にやってはいけないことを以下に記しておきます。

• 奇跡を信じて犬を水に投げ込んではならない：そもそも危ない。そしてトラウマが残る
• 犬を水に引きずり込んではならない：”犬のペースで”を忘れない
• 冷たい水のシャワーを勢いよくかけてはならない：寒いし痛い
• 寒い日に冷たい水で泳ぐことを期待してはならない：恨まれる
• 荒ぶる水や急流に入れてはならない：流される
• 「犬の泳ぐ才能は生まれつきだ」と思いこむ：違う
• スパルタ教育を施す：楽しくしないと部下も犬もついてこない

少し水が苦手だなぁってコには、お風呂の時間には水を掛け合って楽しく過ごすとか、大好きなオヤツを必ずあげるとか、とにかく楽しいことと結びつけることが大切です。水遊びができるようになると、外遊びが出来ない日の家遊びのメニューが増えますし、お風呂だってスムーズになる（かもしれない）ものです。

救助犬のように助けてくれることはないかもしれないけれど、スイスイと泳ぐことができれば、ワンコ達の自信にもつながるかもしれません。水遊びも、一緒に楽しめるようになると良いですね♡

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] How to Make a Dog Like Water – Best of Dog

Featured image credit U.S. Army / Flickr

今日は泳ぐ気分じゃないだけなの！〜プールは好きだけど泳がないと心に決めたワンコさん【動画】 | the WOOF

え、なにこれ？こんなに水あっても飲めないし！ という表情で、プールで立ったままウロウロするワンコさん。前脚でバランスをとりながら、トコトコ歩いているのがなんとも可愛らしいのです。泳ぎが苦手なのかなぁ、と思っていましたが、なんと彼女、泳げるのだそう。